「あなたが経済的成功を遂げた理由は何ですか?」
数多くの資産家、起業家にこの質問を投げかけた。ある者は「運がよかったんだよ」と答え、ある者は「時代の流れに乗ったんだ」と答えた。また、「勤勉にやってきた結果だよ」と答えた者もいるし、少数だが何人かは「私にはその才覚があったのさ」と答えた。
一見バラバラのように見える成功の理由だが、もう少し詳細に話を聞いてみると、そこには成功への足がかりとなる「きっかけ」があった。彼らはみな、ある出来事を「きっかけ」にして経済的成功への第一ステップを踏んでいたのである。
持たざる者にとってはうらやましく思える成功への「きっかけ」。なぜ、彼らには「きっかけ」がやってきて、自分にはやってこないのか。どうして飛躍の踏み台となる劇的な事件が起きないのか。
だが、ある資産家は、「もちろん、人によっては劇的なきっかけと遭遇する場合もあるでしょうが、多くの場合、きっかけなんてほんのささいな出来事に過ぎませんよ」と言う。
別の起業家は、「きっかけなんて、じつは誰にでも訪れるものじゃないんですか。成功する人間は、ある出来事から何かに気づき、行動を起こす。でも、成功できない人間は、出来事が起こっても何も気づかない。要するに、きっかけを見逃してしまっているんです。成功できるかできないかの差は、そんな小さなところにあるんじゃないですかね」と語る。
もしかすると、そうなのかもしれない。経済的成功への足がかりとなるはずの「きっかけ」は誰のもとにも訪れる。しかし、それに気づく者と気づかない者がいるだけなのかも……。
「きっかけ」に気づくかどうかがお金持ちになる第一ステップとするなら、何としてでも気がつきたい、逃したくない、ひっつかみたい――というわけで、またまた取材班は一〇〇人のお金持ちや成功者に話を聞いてみた。
「お金持ちになったきっかけを教えてください」
そう尋ねてみると、さまざまな「きっかけ」が浮かび上がってきた。常識外れの行動が成功への道を開いた。人との出会いが大きなチャンスを呼び込んだ。失敗やピンチを逆転の発想で絶好の機会に変えた……。共通しているのは、お金持ちになった人たちが貪欲に「きっかけ」を利用していることである。
成功者がどんな「きっかけ」でお金持ちへの階段を昇っていったのか。それを知ることは、いまだ「きっかけ」をつかめない多くの人にとって大いに参考になるに違いない。多くのお金持ちが口をそろえて言う。「きっかけ」なんて、ゴロゴロ転がっている。要はそれを見つけられるか、見つけられないかだと。それなら、「きっかけ」のパターンをたくさん知っていればいるほどチャンスは多くなるはずだ。彼らが何に気づき、そこからどんな行動を起こしたかを知れば、自分に「きっかけ」がめぐってきたとき、逃さずつかみとることができるだろう。
どんな人にも訪れているはずの、お金持ちになる「きっかけ」。あなたは、ただそれを見逃しているだけなのである。そして本書が、人生の上昇気流に乗る「きっかけ」のひとつとなってくれるなら、これほどうれしいことはない。
二〇〇九年九月
(秘)情報取材班