父親が偉大な経営者であるほど、息子にかかるプレッシャーは強い。周囲は父親のような名経営者ぶりを期待する一方、「しょせん金持ちのボン」とバカにした目で見たりもする。そんな中、父親とは違う自分の経営方法を模索し、より拡大・発展させる形で家業を引き継いだのが、さる中堅都市でビジネスホテルを経営するSさんだ。
――Sさんのお父さんは、一代でビジネスホテル業を起こし、その都市最大の部屋数を誇るまでになったそうですね。跡継ぎになることは、当初から決まっていたのですか。
「みんなは、そう見てましたね。私も小さい頃から父親に連れられて、ホテルの事務所に入ったりしてましたし。