読みたいトコだけ買える本。
犬耳書店
初めての方へ 記事一覧 無料登録 ログイン
0
-2
kiji
0
0
1051550
0
日航機遺体収容 ―123便、事故処理の真相
2
0
0
0
0
0
0
政治・社会
お気に入りとは?

お気に入りボタンを押すとお気に入りリストにこのページが追加されます。興味のあるページ・気になったページを後から確認するのに便利です。

お気に入り お気に入り
遺品の措置

『日航機遺体収容 ―123便、事故処理の真相』
[著]河村一男 [発行]イースト・プレス


読了目安時間:20分
この記事が役に立った
0
| |
文字サイズ


 
搬出

 墜落現場の尾根には、乗客のものと思われるものを含め種々の品物が、遺体、機体片と同様に広範囲に散乱していた。

 しかもその多くは、元来トランク等に入れられていたと思われるのに、むきだしになって散乱しているのであった。これは貨物用コンテナ同様、硬い材質のものは衝撃の強さで粉々に破損しているためであった。

 また乗客が身につけていたものでも、着衣が破れ離ればなれになったと認められるものもある。

 遺品は、遺体に次いで早急に遺族の元に帰してさしあげるべきものであり、遺族の執着も強い。

 だが、遺体の収容を第一義に進めたので、遺体と離れた遺品だけの収容作業が本格化したのは数日経ってからであった。

 このことは最初からそのように計画していたものではなく、目につく遺体の大方を収容でき、離断した小さな遺体を探す段階に入ったので体制に余裕ができ、自然の成り行きでそうなったのだと思う。それまで野ざらしもやむをえなかったのであろう。現地の判断に任せていた。

 遺品の収容も、遺体同様、発見の位置・状況の写真撮影そのほかの記録が肝要である。

 その後、同位置を記した記号標とともに小袋に入れて封をし、それら小袋数個をまとめてビニール大袋に入れて整理していた。大物は最初から大袋を使って縄をかけ記号標を結びつけることもあった。

 遺品の搬出をはじめたとき、ちょっとした問題が持ち上がった。

 末井誠史警備部長が泣かんばかりの顔つきで訴えてきた。「自衛隊は、遺品のヘリ搬送は任務外だからできないといっている。本部長から師団長に交渉してほしい」というのである。

 困ったことになったと思った。自衛隊にはこれまで反自衛隊を主義とする向きから散々に批判されてきた経験から、任務をことさらに狭く限定することでそれをかわしてきた経緯がある。教条的にそうした議論が出ることもありえた。阪神・淡路大震災のときにもこの種の話があった。

 この場合、災害出動に遺品の搬出を含まないとの明文があるのならともかく、自衛隊の確たる意見でなく現地事務レベルでの狭量な判断であろうとは、容易に推察できた。したがって、師団長に話せば簡単に解決する問題ではあった。

 後日、防衛庁内局幹部と雑談でその話をしてみたら「そんな……」と笑い話になったが、それをやれば末井達が毎日折衝している当の自衛隊現地中間幹部との間が気まずくなるのを恐れた。

 異論はあろうが、そのとき私には別の考えもあって、その問題を深く詮索することをやめた。
この記事は役に立ちましたか?

役に立った
0
残り:8956文字/本文:9986文字
この記事を買った人はこれも買っています
      この記事を収録している本
      この本で最も売れている記事
      レビューを書くレビューを書く

      レビューを書いてポイントゲット!【詳細はこちら】

      この本の目次