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日航機遺体収容 ―123便、事故処理の真相
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政治・社会
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身元確認作業のタイムラグ

『日航機遺体収容 ―123便、事故処理の真相』
[著]河村一男 [発行]イースト・プレス


読了目安時間:13分
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難渋した身元確認

 身元の確認は、思いのほか難渋した。

 航空事故の通例とはいえ、遺体の損傷の激しさは想像を絶する。

 ごくわずかながら、外傷もほとんどなく眠っているような姿で座席に座ったまま投げ出されていたものもあったが、それは極めて例外である。遺体には、当然ながらなんらかの損傷がある。四名の生存者でさえも骨折その他の重傷を負っていたことからも、それはうかがえるであろう。ひどい場合は、時速五五〇キロあまりで激突した衝撃で、原形をとどめないほどバラバラになって遠くまで飛び散っている遺体もあった。

 激突地点から二〇〇メートルあまり離れた斜面の土中から掘り出された、三本の歯がついているだけの顎骨の一部分は、治療痕の特徴で確認となった。

 このように、バラバラというより粉々というほうが正確なほどの小さい欠けらも数多く収容されてきた。ようやく人の形はしているが、黒焦げにひどく焼けただれたものもある。落葉など堆積物のなかにあって数日(くすぶ)り続けて焼骨化し、血液型すら判定できないものも少なくなかった。したがって、最初から身元の確認をしようがなく、遺族の元に帰す(すべ)がないと判断できる部分遺体も相当数見込まれた。

 八月一六日午後になって初めて藤岡を見回れたとき、検視班長の久保幸作刑事調査官と交わした会話を、今でも鮮明に思い出す。
「確認できるのは、三〇〇くらい?」
「四〇〇までは、頑張ります」

 彼から返ってきた答えであった。

 それが最終的には五二〇人の死者全数の手がかりをえたのだから、三〇〇、四〇〇という数字に疑問を感じられる人もあろうが、あながち判断が甘かったとか、両者の間に意見の相違があったというわけではない。
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