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日航機遺体収容 ―123便、事故処理の真相
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政治・社会
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捜索体制の縮小を決める

『日航機遺体収容 ―123便、事故処理の真相』
[著]河村一男 [発行]イースト・プレス


読了目安時間:18分
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現場悩ます収束判断

 形式的には政府事故対策本部の決定であるが、実質的には現地責任者である私が決断しなければならないことが何件かあり、一歩引いた立場でしか発言できないつらさがあった。

 深刻なのは、遺体関連の事柄である。

 遺体への執着の強さはわが国の国民性であるが、その点への考慮なしに、多数の死者が出た災害の処理はありえない。

 この事故では、意見が様々に割れた。それら諸般の事情を八方睨みして、決断しなければならないところに苦心がある。

 最初に迫られた決断は、八月二六日の予定を一日延長させられ二七日となった大規模捜索体制の縮小であった。

 関係向きが多い事案は合議で(はか)られることが多いが、この種のマイナーな案件の幕引きでは、誰しも風当たりの強い悪者になるのが嫌で切り出す者がなく、解決がずるずると先送りされやすい。

 合議のよさを無視するものではないが、こうした緊急の事態では、会議主宰者がよほどはっきりした解決案を示し、もし反対があっても十分に説得するだけの腹をくくってかからなければ、会議で決めるという手順は通過できない。形式は合議での了承であっても、実質は一人の決断にかかっていたことを承知していただきたい。

 私が詰まるところの決断根拠としたのは、現場の担当者が思い残すことのないように、遺体を拾い尽くしたと感じるところまでできているか否かであり、雑音を含めて外からの意見は参考にしたに過ぎなかった。

 この最初に迫られた決断についても、いろいろないきさつがあったが、いよいよ私が判断を下さなければならない段階であった。

 
その時期の捜索進捗状況

 現場の遺体捜索は、警察、自衛隊ともに連日各一〇〇〇名体制で行っていた。

 険しい傾斜地帯であるとはいえ四万平方メートル弱の区域に二〇〇〇名もの捜索隊が入っているのだから、単純計算すれば一人当たりの持ち場は二〇平方メートルに過ぎない。数日も経てば、目視上の捜索は収容を含めて一応完了し、搬出される遺体の包みもめっきり少なくなってきている。

 残る作業は、散乱している機体残骸を移動し隠れていた地面の確認、地面を掘り起こしてめり込んでいるものの発見、立木を伐採して途中に引っかかっているものの収容等、工具を要する特殊なものだけとなっていた。
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