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日航機遺体収容 ―123便、事故処理の真相
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政治・社会
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第二次合同火葬

『日航機遺体収容 ―123便、事故処理の真相』
[著]河村一男 [発行]イースト・プレス


読了目安時間:23分
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苦渋の決断

 捜索体制の縮小、身元確認不可能遺体の上野村長への引き継ぎ、所有者確認不可能遺品の処置など救難活動の節目々々の決断は、気の重く悩ましいものであった。

 それらの決断は遺族を含め世間一般から納得がえられるものでなければならないが、遺族一つをとってみても、死者五二〇人という多数のなかで、その意向を一本化することはとうてい無理な相談だったからである。意見の一致は望めない、さりとて日和見で時間を徒過させるわけにはいかないから、最後の決断は選択の問題になる。その判断には、理の要素もさることながら、情の要素の占める割合が大きいから悩ましい。

 万般を視野に入れて収束の機を図るのは、あまりほかに相談もできず、じつに孤独な判断であった。

 一二月二〇日の第二次火葬の決定は、事実上最終決定的意味を持つものであっただけに、思案に思案を重ね、各方面の意見を見定めるために、いろいろな手順を尽くしたつもりである。

 早くという意見もあれば、もっと遅くという意見もある。そのなかで、遺族の意思確認がもっとも難しい。肝心な遺族も、確認できないのであれば早く供養してほしいという意見と、離断部位の追加確認を続けたいという意見の二つに割れているように受け止めた。

 急ぎ過ぎてはならないが際限なくいつまでもというわけにもいかない。問題はもっと遅くという意見との折衷点である。全遺族を満足させることは現実には不可能であり、どこかの時点で区切りはつけなければならない。

 遺族の意見となると、声高な一部の発言に強い情緒的ムードに流されやすいが、それではいつまでも決着しない。自分としても納得のいく結論をえるまでと考えた。もし関係者からその判断理由を聞かれれば自信をもって答えられるまで詰めておくようにし、性急に見切り発車することだけはなんといわれても避けた。

 そのため、早期処置論の人たちからも、処置延伸論の人たちからも、双方の評判が悪かったようであるが、責任を持ってくださるわけではないので、参考にはしても囚われることはなかった。
「新潮45」に連載したドキュメントをまとめて事故の翌年出版された吉岡忍著『墜落の夏』(新潮社刊)は、細部の誤りはあるものの、よく取材した中身の濃いドキュメントと認めている。

 その一九三ページに、「県警本部長は、遺族がひとりでも納得しなければ確認作業はつづける、と周囲にもらしていたという。しかし、その力みがかえって、かなり上の権力中枢から、いい加減に日航機事故騒動をしめくくれという圧力がかかりはじめたことをうかがわせた」とある。

 唯一私の職名が出るところであるが、当時の私の感触とはちがう。いろんな意見が出るのは当然であるが、圧力と感じるほどのものはなかった。それらの意見は参考にはしてもあまりこだわることはなかった。
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