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悲しき歌姫 藤圭子と宇多田ヒカルの宿痾
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エンタメ
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金がなけりゃ、からだだ

『悲しき歌姫 藤圭子と宇多田ヒカルの宿痾』
[著]大下英治 [発行]イースト・プレス


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『新宿の女』のレッスンをつづけながら、藤圭子の心は暗くなるのだった。曲ができても果たして、いつレコードを出せるのかわからない、という不安が先にきてしまうのだった。

 だが、それはまったくの杞憂に終わった。

 ある日、駆け込むように帰ってきた石坂が藤の肩を乱暴に叩いた。
「お、い、純ちゃん! いよいよ潮が流れてきたぞ!

 藤にはなんのことかわからないので、まごまごしていると、石坂はニッコリと白い歯を見せて言った。
「あのね……、『新宿の女』がレコードになるんだよ!

 藤は思わず心の中で叫んでいた。
〈バンザイ!

 RCAレコード・ディレクターの榎本襄は、慎重であった。
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