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戦後七〇年「右傾化」批判の正体
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政治・社会
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靖国参拝を支持するが保守的ではない若者

『戦後七〇年「右傾化」批判の正体』
[著]酒井亨 [発行]イースト・プレス


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「最近の若者は右傾化している──」


 靖国神社などに参拝したり、サッカーなどのスポーツ試合で「ニッポン」と歓声を上げながら日の丸を振ったり、「日本に誇りを持つ」と語ったりする若者が「増えた」として、リベラル系のメディア、評論家が指摘することが多くなっている。特に「ぷちナショナリズム」と命名した評論家に香山リカがいるが、果たして本当に最近の若者は「右傾化」していると言えるのだろうか?


 これに対して保守系・右派系を自任する評論家・古谷経衡は著書『若者は本当に右傾化しているのか』において、若者を対象とした自身や政府の調査データを基に、真っ向から反論している。


 たとえば、二〇一四年二月九日投票の東京都知事選挙において、「極右系」候補とされた()()(がみ)(とし)()が、朝日新聞出口調査において二〇代の若者の二四%が支持したとの結果が出た点について、若者の投票率が二五%程度と低いため、若者の支持が多かったことに直結しないこと。田母神を軸にして世代別投票行動を分析すると、二〇代は一六%に過ぎないこと。さらに二〇一三年七月の参議院選挙では、若者の間における「左派」の(やま)(もと)()(ろう)()()よし子の得票がむしろ保守系よりも多かったとみられること。これらを総合して、若者の大多数は投票に行かず政治的無関心層であり、政治的関心層ではむしろ左派支持のほうが若干多いと指摘している。


 また、若者の間では靖国参拝への支持は確かに以前よりも増えているが、「国を愛するか」と問われると、中高年に比べて圧倒的に少ないことから、古谷は若者は右派が期待するような保守的な意識で一貫しておらず、靖国参拝は政治的右派の観点から出発しているのでなく、むしろ脱政治化されていると指摘する。


 古谷の指摘は、NHK放送文化研究所『現代日本人の意識構造〔第八版〕』(二〇一五年二月発行)でも裏付けられる。NHKの調査では、夫婦の姓の選択、婚前交渉についての調査もあり、若者は「夫婦どちらの姓でもよい」「婚前交渉は可」などの社会的に開放的・進歩的な回答が多かった。


 このように、首相の靖国参拝を支持する若者は、一方では国のために死ぬのを嫌がったり、婚前交渉はまったく躊躇しなかったりする。つまり、中年以上の世代の基準で見れば「靖国参拝賛成」という「右派」的観点では一貫せずに、社会問題ではむしろリベラル色が強かったりするのである。


 これはつまり中年以上の世代が思い描いている「右翼であるシンボル・根拠・論理的脈絡・パッケージ」が若者にはそのまま当てはまらないということなのだ。中年以上にとって靖国参拝は、社会的保守主義(国のために死ぬことと婚前交渉に否定的など)の観念と直結するものであるが、若者は違う。中年以上から見れば矛盾するような、靖国参拝に賛成するくせに、国のために死ぬのは嫌で、婚前交渉もOKという意識が若者にとっては矛盾せず、両立する観念となっているのだ。


 逆にいえば、靖国参拝、あるいはニッポンと呼号して日の丸を振ることだけに注目する一方で、戦争への()()や社会的リベラルな感覚を見ずに、若者を「右傾化している」などととらえるのは、それこそ一面的で誤った理解、ということである。


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