読みたいトコだけ買える本。
犬耳書店
初めての方へ 記事一覧 無料登録 ログイン

犬耳書店はRenta!へ統合いたします

(2021/9/29 UP)

犬耳書店は、姉妹店のRenta!(レンタ)へ統合いたします。
詳しくはこちらでご確認いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

0
-1
kiji
0
1
1052595
0
店長のためのやさしい《ドラッカー講座》
2
0
0
0
0
0
0
ビジネス
お気に入りとは?

お気に入りボタンを押すとお気に入りリストにこのページが追加されます。興味のあるページ・気になったページを後から確認するのに便利です。

お気に入り お気に入り
(1)自分のお店を定義する三つの要素

『店長のためのやさしい《ドラッカー講座》』
[著]結城義晴 [発行]イースト・プレス


読了目安時間:6分
この記事が役に立った
0
| |
文字サイズ


 企業も公的機関も、社会の機関である。

 それらの機関は、それ自身のために存在するのではなく、それぞれの機能を果たすことによって、社会や地域や個人のニーズを満たすために存在する。
(『チェンジ・リーダーの条件』より)

三つのポイント「環境・使命・強み」


 ドラッカーは、「お店」について具体的には言及していません。お店をドラッカーの言葉に置き換えれば、「事業」ということになります。小売業やサービス業の場合、お店は事業の最前線にある仕事のステージです。

 ここでは、61ページに(かか)げたドラッカーの事業の定義に関する三つの要素を念頭に置きながら、皆さんが日夜奮闘している仕事の現場、つまりお店とはそもそも何か、ということを改めて考えてみましょう。


 店長の皆さんがやるべきことは、ドラッカーの言う「環境、使命、強み」の三つの要素を前提として、「どういうお店をつくっていくか」を決めることです。

 「環境」とは、広くは時代の流れや社会構造(少子高齢化など)のことですが、身近なところでは商圏内の市場の特徴、言い換えれば「どういうお客様が住んでいて、どのような欲求や期待、現実を持っているか」ということになります。

 「使命」とは、そうした環境の中で、「何をお客様に提供するか」ということです。お店ですから、商品やサービスを提供するわけですが、具体的に「どういう商品・サービスを、どういう考え方で提供するか」となります。

 「強み」とは、競合店など商圏内の他のお店と比べたとき、何が自店舗の特長か、どこに優位性があるか、ということです。これは、使命とも連動します。つまり、「こういう強みがあるから、このような使命や機能を持つ店をつくる」という発想です。


 この三つの要素を前提にして、自分の事業やお店を定義するのです。「定義する」とは、何のために存在しているのか、どういう役割を持っているのかといった観点から、“お店の原点”を定めることです。


 まずは、どのお店にも共通する定義を考えてみましょう。

 ドラッカーの言う「事業の定義」を、「小売業は何をつくっているか」という問いに置き換えてみます。このことについて、日本の小売業に精通した三人の方々が、次のように表現しています。

三人の識者はこう言った


 オール日本スーパーマーケット協会会長の荒井伸也(あらいしんや)さんは、
「小売業がつくっているプロダクト(製品)は店舗である」

 と言っています。この定義は、製造業が製品をつくっていることに対比して表現したものです。

 荒井伸也さんは、東京都を中心に食品スーパーマーケット「サミットストア」などを展開する株式会社サミットの社長や会長を歴任、一方では「安土敏(あづちさとし)」のペンネームで『小説スーパーマーケット』(講談社文庫、上・下)などを著している経済小説家でもあります。『小説スーパーマーケット』は、故・伊丹十三(いたみじゅうぞう)さんの脚本・監督で『スーパーの女』という映画にもなりました。

 小売業と店舗に関する荒井さんの定義は、安土敏として著した『日本スーパーマーケット原論』(ぱるす出版)の中でくわしく解説されています。

 ちなみに、前記の二書はドラッカーの思想がベースになっています。
「中規模スーパーの場合で、商品の品目は一万点以上、一品目あたりの在庫を一〇個として商品数だけで一〇万点になる。陳列台やレジスター、店員、建物全体などまでを考えると、店舗という製品を構成している“部品”の数は膨大なものになる。
小売業は、この膨大な部品からなる店舗という製品を毎日毎日アセンブリ(集合させること)している、一種のアセンブリ産業だと言えなくもない」


 この荒井さんと同様の考え方をしているのが、アップスケールしたスーパーマーケットとして知られる成城石井の社長を務めたのち、株式会社セブン&アイ・フードシステムズ社長となった大久保恒夫(おおくぼつねお)さんです。大久保さんは、
「小売業は売り場をつくるのが仕事」

 という表現で、お店をとらえています。

 また、法政大学経営学部教授兼同大学イノベーション・マネジメント研究センター所長の矢作敏行(やはぎとしゆき)さんは、
「小売業がつくるものは業態である」

 と主張しています。
「業態」という言葉を『広辞苑』で引くと、「営業と事業の状態」とあります。また、英語にすると「タイプ・オブ・オペレーション」となります。小売り・サービス業においては「どんな営業方法でお店を運用しているか」ということを指します。
「業態をつくる」とは、市場の変化に合わせて新しいタイプのお店をつくることです。たとえば小売業界におけるコンビニエンスストアや外食産業におけるファミリーレストランなどがその代表的な例です。これらは日本ではそれまで存在していなかった新しい営業方法を採用したわけで、つまり「業態開発」をしたということになります。
「市場の変化に合わせて」というのは、まさしく顧客側からの発想です。

 荒井伸也さんは、業態を「小売業のハタラキ、すなわち社会的機能の手段として形づくられる」と定義しています。「形づくられる」というのは、すなわち「店舗をプロダクトする」という意味と同じです。

 この荒井さんの定義も、前述の皆さんの小売業とお店に関する指摘も、ドラッカーの言っていることに矛盾しません。

ニーズがお店の姿を変える


 私は、この三人の指摘を前提にして、「現代の小売業やサービス業は、お店というものを舞台にして、業態をさらに分化した「フォーマット」をつくっている」と考えています。

 スーパーマーケットやコンビニ、あるいは様々な外食サービスのお店をよくよく見ると、会社ごとに、さらに会社の戦略ごとにスタイルが異なっています。荒井さんが表現した「ハタラキ」が細分化し、多様化してきているのです。

 たとえばローソンには、従来のコンビニという業態から分化した「ナチュラルローソン」がありますし、「ローソンストア100」も店舗数を拡大しています。
「ナチュラルローソン」は、主に女性をターゲットに「美しく健康で快適なライフスタイルをサポートする」というコンセプトで展開するお店です。
「ローソンストア100」は、一〇〇円ショップの均一価格を取り入れた“生鮮コンビニ”というコンセプトのお店です。

 このように企業の新しい店舗戦略に基づいて次々に生まれていくお店のタイプを「フォーマット」という概念で呼びます。

 業態分化の店舗戦略、すなわち「フォーマット」は市場の「TPOS」によって生まれます。

 TPOSとは、Time(時間)、Place(場所)、Occasion(場面)、Style(ライフスタイル)の頭文字です。お客様が「どんなときに」「どんな所で」「何をしたいか」「どんなライフスタイルか」を考えることでターゲットとする客層を分析し、最適の店舗をつくりだしていくという手法です。

 つまり、ドラッカーの言う「顧客の価値、欲求、期待、現実、状況、行動からのスタート」を実践する考え方なのです。

 これによって「特定のニーズのために存在する」お店が、具体的な形で実現するわけです。私は「知識社会」の小売業やサービス業には、「フォーマット」の考え方が必須であると思っています。

この記事は役に立ちましたか?

役に立った
0
残り:0文字/本文:2973文字
この記事を買った人はこれも買っています
      この記事を収録している本
      この本で最も売れている記事
      レビューを書くレビューを書く

      レビューを書いてポイントゲット!【詳細はこちら】

      この本の目次