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プロ野球にとって正義とは何か―落合解任と「プロの流儀」vs.「会社の論理」
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淡々とした解任発表の謎

『プロ野球にとって正義とは何か―落合解任と「プロの流儀」vs.「会社の論理」』
[著]手束仁 [発行]イースト・プレス


読了目安時間:4分
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 あまりにも突然なことに感じられた、中日の落合博満監督解任の発表だった。

 というのも、シーズンも押し迫ってきた2011年9月半ば。首位ヤクルトを急追する中日が、ここに来て一気にアクセルを踏んだという感じで追い上げてきたときのことである。ヤクルトとの首位攻防となる4連戦を控えた当日の9月22日、中日ファンだけではなく、球界関係者にも衝撃が走った。
「中日落合監督、今季で辞任」

 唐突に流されたこの報道に騒然となった。

 多くの人が疑問に思ったのは、「首位争いをしているのに、なぜこの時期の、このタイミングに……」ということである。

 本章では関係者の証言をもとに、その真相を明らかにしたいと思う。ただし、情報源の秘匿のため、事実関係を記すにとどめることとする。

 就任8年目となる落合の契約が2011年に切れることは認識されていた。しかし、これまでも、勝っていたという事実もあって、契約は更新され続けた。そんなこともあって、この年で任期満了としないで、この成績ならば、新たに契約更新されるのは間違いないだろうというのが大方の見方だった。

 落合の契約に関しては、シーズン前からファン、野球界、マスコミの間でも、しばしば話題になっていたことでもあった。それも、確実に優勝争いをしているということで、続投で結論が出たと判断した人も多かったであろう。ところが、そうではなかった。

 実績を上げた監督だっただけに、速報として流された「落合監督、今季限り」というニュースは衝撃だった。ただ、その発表のされ方も、当の本人である落合の受け止め方も、きわめて淡々とした形で行われたのは奇異にさえ感じられた。本当に優勝争いの真っ最中の指揮官の辞任発表なのだろうかという雰囲気であった。それくらい淡々と発表されたものだった。

 球団広報の発表によると、これは22日に開催された中日球団の定例取締役会での決議で、会見した佐藤良平(さとうりょうへい)球団代表は淡々と語った。
白井(しらい)文吾(ぶんご))オーナーも球団フロントも、落合監督の手腕を高く評価しているが、8年という期間が判断のひとつとなった。一度、新しい風を取り入れたいという方針になった」

 ということが主な理由だった。また、「(落合が)野球殿堂入りされた今年が節目の年ではないか」ということもつけ加えられた。

 2003年暮れに就任して、2004年から采配を振るって以来、ここまでの7年間でリーグ優勝3回、2位3回、3位1回という成績で、一度もAクラスから外れていない。また、2007年には2位からクライマックスシリーズを勝ち上がって、球団としては53年ぶりの日本一にも導いている。そして、この年も一時は10ゲーム差をつけられていたヤクルトを8月末から追い上げ始めて、ついに射程圏に捉えた矢先のことだった(表1)。



 落合は初めて監督として采配を振るった中日で、仕事の成果としては文句なしの実績である。それまでも決して弱い球団ではなかった中日だったが、優勝したらしばらくは中位にいて、また何年かに一度優勝するというケースが多く、決して常勝球団ではなかった。もっとも、地元ファンも「それでいい」と、そんな中日を容認するようなムードがあったのもたしかだ。

 ところが、落合が監督に就任して以来、毎年優勝争いをするようになった。しかもクライマックスシリーズ(CS)という制度が導入されるようになったこともあって、Aクラスに残る成績を維持することの意義がより高く評価されるようになっていた。そうした中で、一度としてBクラスに転落させていないということでも、落合采配は高く評価されていた。

 しかし、そんな実績の落合がシーズン半ばで、しかも優勝争いの大詰めのこれからというタイミングで発表された「今季限り」の報道。

 誰もが「どうしてこの時期に、このタイミングで……?」という疑問を抱いたのは当然のことであろう。

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