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プロ野球なんでもランキング 「記録」と「数字」で野球を読み解く
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◇1 本当の歴代打率ナンバーワンは誰だ?

『プロ野球なんでもランキング 「記録」と「数字」で野球を読み解く』
[著]広尾晃 [発行]イースト・プレス


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「安打÷打数」は小学生でも計算できる簡単な数式だが、打率ほどプロ野球選手の実力を端的に表すデータはないだろう。
「3割打者」が優れた打者であることは、野球をくわしく知らない人でも知っている。それくらいポピュラーなデータなのだ。

 次にご紹介するのは、2012(平成24)年シーズンの終了時点での、日本プロ野球歴代打率ベスト20だ(表1‐1)。



 76年におよぶプロ野球の歴史で、1試合でも出た選手は5900人を超えている。

 そのなかでの、打者のベスト20の記録(4000打数以上)。エリート中のエリートだ。なお、終身打率3割をクリアした打者は24人いる。

 そのトップは外国人選手のレロン・リー。ロッテの助っ人外国人として1977(昭和52)年から11年にわたって活躍した左打者だ。日本では「リー」で登録された。弟のレオン・リーも1978(昭和53)年に来日した。登録名は「レオン」。2人は容貌がそっくりだったが、兄のリーが左打者、弟のレオンが右打者だったので区別がついた。そのレオンも9位に名前を連ねている。

 2位はわずかの差でヤクルトの若松勉。3位は日曜朝の「喝!」でおなじみの張本勲。張本は3085安打という安打数の日本最高記録を持っている。4位に阪急(現オリックス)、オリックスで活躍した外国人のブーマー、5位に「打撃の神様」川上哲治(てつはる)、6位にそのライバルだった与那嶺要(よなみねかなめ)がランクイン。

 そして7位に現役選手の巨人・小笠原道大(みちひろ)がいる。小笠原はここ2年、成績が下落して、年俸も4・3憶円から7000万円に大幅削減されて話題となったが、現役選手では最高打率なのだ。8位は三冠王3度の落合博満。与那嶺から落合までは僅差だ。9位は先に述べたとおり、リーの弟のレオン。10位には現役の中日・和田一浩がランクイン。しかし、西鉄(現西武)の大選手だった中西太とは1毛の差。今季の成績次第ではベスト10から落ちてしまう。今季は和田の打率にも注目だ。ミスター・ジャイアンツの長嶋茂雄は12位。この表にはないが、王貞治は・301で22位だ。

 王は最終年に「これ以上、現役を続けていると、通算3割を割ってしまう」として引退を決意したともいわれている。

 打者にとって終身打率3割は、それほど大切な記録なのだ。


◆イチローは、なぜランクインしないのか?


 前のプロ野球の生涯打率のランキングを見て、多くの人が疑問に思われるかもしれない。
「イチローは、なぜ入っていない?」

 日本プロ野球史上初のシーズン200安打、7年連続首位打者など数々の大記録を打ち立てて大リーグに挑戦した大打者がランキングに入っていない。

 じつは、日本プロ野球時代のイチローは4000打数に381足りないのだ。日本プロ野球機構は4000打数以上で打率のランキングを出しているので、イチローは載っていないのだ。

 でも、野球のルールにくわしい人なら「おかしい」と思われるのではないだろうか。

 打数はバッターボックスに立った回数(打席)から、四球、死球、犠打、犠飛などを引いた数だ。選球眼がよくて四球をたくさん選んだ選手やバントが多かった選手は4000打数に達しない可能性だってある。これは不公平だ。

 そもそも4000打数という数字にしっかりした根拠はない。「レギュラー選手を10年やっていれば、だいたい到達する数字」にすぎない。

 シーズンの打率のランキングも「規定打数」ではなく「規定打席」だ。4000という数字にこだわるならば、4000打数ではなく4000打席以上の打者でランキングすべきではないか。イチローは打席でいえば4000を超えているのだ。

 ということでやってみた。ずいぶんランキングが変わってしまう(表1‐2)。



 イチローは断トツの1位。3割5分を超える空前の高打率だ。そして2位にも2012(平成24)年から大リーグに挑戦している元ヤクルトの青木宣親(のりちか)がいる。

 2人とも全盛期にアメリカに行った。衰える前だから数字が高いともいえるが、それにしても傑出した数字だ。

 3位には横浜(現DeNA)が1998(平成10)年に優勝したときに大活躍したローズがいる。

 少し基準を変えるだけで、ランキングはこんなに変わってしまう。これも「野球の記録」の醍醐味のひとつだ。


◆補正値TBAで見えてくる、本当の打者の実力


 日本プロ野球は2012(平成24)年まで76年の歴史を重ねてきた。戦前や戦中は用具や球場の設備が整っていなかったから安打がなかなか出なかった。3割打者がゼロの年さえあった。

 そうかと思えば、戦後には「ラビットボール」という飛びまくるボールを使った時代もあった。打撃30傑のうち3割打者が20人以上いる年もあった。

 そういう年の成績をほかの年と同列で比べるのは不公平だ。打撃優位の年に現役だった選手が上位に来てしまうはずだ。そういう要素を補正すべきだ。そう提唱した人がいる。「記録の神様」といわれた故・宇佐美徹也(うさみてつや)さんだ。

 宇佐美さんはアメリカで開発されたTBA(True Batting Average)という計算式を使ってオールタイムの選手を公平に比較すべきだと言った。

 計算式は、それほど難しくはない。「(選手の通算打率×0・252)÷選手の実働期間中のリーグ打率」で導き出される。0・252は、日本プロ野球の全期間を通じた平均打率だ。

 この補正によって、その年のリーグ打率が全期間の平均打率より上の場合はアップし、下の場合はダウンする。

 このTBAを使って、4000打席以上の選手のランキングをもう一度、出し直してみよう。

 参考までに通算打率とその順位をつけた(表1‐3)。



 補正しても、イチローが歴代1位。打率は1分1厘も下がったが、それでもトップをキープした。断トツだったのだ。

 そして2位には戦前からの大打者・川上哲治が上がってきた。飛ばないボールの時代に高いレベルの打撃を見せた。

 続いて戦後、川上のライバルとなったハワイ出身日系2世の与那嶺要。

 長嶋茂雄も通算打率を大きく上げた。長嶋が巨人に入団した昭和30年代前半は投手優位の時代だったのだ。そこでの活躍だから数字の価値が高いのだ。

 さらにミスター・タイガースの藤村富美男。この選手は日本プロ野球が始まった1936(昭和11)年にデビューし、長嶋がプロ入りした1958(昭和33)年までプレーした。日本プロ野球の歩みそのものというべき選手。川上のライバルでもあった。

 最多安打記録を持つ張本勲は、打率は変化せずそのまま。

 さらに西鉄黄金時代の四番・中西太が7位。

 補正前のランキングでは2位だった青木宣親が8位、3位のローズが9位になっている。

 10位は赤バットの川上とともに青バットの大下として戦後のスターになった大下弘。のちに西鉄の中軸を打った。

 現役では内川聖一と小笠原道大がかろうじてランキング入り。

 三冠王3度の落合博満は3割を割ることになってしまう。

 こうして見ると、昔の選手が上位に上がってきていることがわかる。

 最近はバットやボールがよくなって打球が伸びるようになった。2011(平成23)年から反発係数の低い統一球が導入され、やや打撃は弱くなったが、最近の打者と昔の打者では環境が大きく違うのだ。

 以後、本塁打や安打のランキングも取り上げるが、その都度、TBAで補正したランキングもご紹介していきたい。

 ただしTBAは打撃成績しか使えない。投手の勝ち星は、用具や環境というより、登板頻度や投球回数によるところが大きいからだ。




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