すしを詠った古川柳には次のようなものがある。
妖術という身で握る鮓の飯
にぎにぎを先へ覚える鮓屋の子
熟練した手さばきですしを握っている姿に驚いている江戸っ子の姿が目に浮かぶようである。
すしの歴史は古く、江戸においても、熟成用に飯を用いて魚だけを食する「熟れずし」をはじめとし、握った酢飯に魚を載せて半日ほど押した「当座ずし」がすでに考案されていた。
その後、いまの握りずしの基になる技術が生み出されるわけだが、諸説ある中でその名が知られているのが、江戸の華屋与兵衛(一七九九〜一八五八)が考え出したものである。