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(2021/11/26 追記)

犬耳書店の作品をRenta!に順次移行します。
詳しくはこちらでご確認いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

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装丁を語る。
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はじめに

『装丁を語る。』
[著]鈴木成一 [発行]イースト・プレス


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鈴木成一『装丁を語る。』
イースト・プレス|2010年7月|2000円

判型:128×188mm 四六判
製本:並製 240ページ

資材
◎カバー:OKスーパープラスター 四六判Y目110kg
◎帯:OKスーパープラスター 四六判Y目110kg
◎表紙:OKスーパープラスター 四六判Y目200kg
◎見返し:スーパーコントラスト スーパーブラック 四六判Y目100kg
◎別丁扉:OKスーパープラスター 四六判Y目90kg
◎本文:(I)オペラホワイトゼウス 四六判Y目86kg

印刷・加工
◎カバー:1C(スミ)|マットp.p.加工
◎帯:1C(スミ)|マットニス引き
◎表紙:1C(スミ)|マットp.p.加工
◎見返し:なし
◎別丁扉:表裏各1C(スミ)
◎本文:Process4C






「装丁家」とよく言われるんですけど、自分ではそう思ったことはないんです。広告や映画の宣伝など、いろんなグラフィックデザインをやっていたわけですが、そのなかで本の仕事がなぜか一番評価されて、今はほとんどブックデザインばかりをやっている、というわけなんですね。


 そもそもこの世界に入るきっかけは何だったかというと、学生の頃に劇団のポスターをデザインしていたんですが、その劇団を主宰する演出家が戯曲集を出すというので、「装丁もやってくれないか」と。それで、見よう見まねで、よく考えずに闇雲にやってみたんですね。大学4年のときだったんですが。そうしたらたまたま、それを見た編集プロダクションの人が、「うちの単行本もやってくれないか」という話になって、それもまあまあ評判がよかったみたいで、ほかの出版社からまた依頼の話があって……と枝分かれして今に至っています。

 この仕事を始めたのが23の頃ですから、もう25年やっていることになります。自分でもなぜ続けられているのか、この仕事が本当に自分に合っているのかどうかも未だによくわかってないんですけど、でも自分なりに装丁に対する考えがありますので、今からお話してみようと思います。


 まずこの仕事は、ある日突然編集者から電話がかかってきて、「こういう本の装丁をお願いします」と依頼されて、それを受けることから始まります。直接会って話を聞いて、実際に原稿を読んで、デザインを考えていくわけですが、駆け出しの頃は版下というのをまず作って、印刷するための指定をして、印刷所から出てきた色校をチェックをして終わる。今は版下を作るかわりに、コンピューターで入稿データを作るんですが、とにかくそうやって編集者から一冊ごとに雇われて、本ができるとそこで解雇される。雇われては解雇される、その繰り返しなんです。

 もちろん編集者とは仕事の一環としてかかわるわけですけども、その本が終わればまるで何もなかったかのような関係に戻るんですね。実感としては「なんて冷たい世界なんだろう」と(笑)。

 ですから、どうにか次もまたお願いしてくれるように仕向ける、と言いますか、要は編集者にリピーターになってもらおうと思ったんですね。やっぱりお客さんが次も来てくれるっていうのは、すごく嬉しいですし、自分の自信にも繋がるわけですから。一回一回終わる仕事ではあるけれど、次に繋げていきたいなと。

 そのためには、一回の仕事で、いかにその編集者の心を掴むかがすべてなんです。読者はその向こう側にいますから、それさえまずできれば、読者にも繋がっていくだろう。そういう気がします。彼らの期待に応える。その関係を壊さない。結局それに尽きますね。


 装丁には正解がある、と私は思っていまして、原稿を読めば、「本としてこうなりたい」というかたちがやっぱりあるわけですよ。個性をちゃんと読み込んで、かたちにする。飾りで読者の気を惹くのではなく、その本にとっての一番シンプルで必要なものを明確に演出する。そのときに、いかに自分が新鮮に思えるか、わくわくできるか、ですね。そうやって作ったものって、やっぱりちゃんと伝わりますから。


 というわけでこれから、自分がこれまで手がけた本の中から、120冊くらいを選んで、それぞれの「演出」意図を解説してみようと思います。編集者や読者を驚かせるためにどんなことをしてきたのか、どんな仕掛けを、どんな絵を、どんな写真を、どんな文字を使って――たった13センチ×20センチくらいのほんの小さなスペースなんですけど、そのなかで、人をあっと驚かせるような、惹きつけるようなことができないかと四苦八苦してきた結果です。

*版下
印刷指定用の台紙。白のボール紙上に文字や図を貼り込んだり、イラストや写真スペースを示すガイドラインを書き込んだもの。基本的に白と黒、原寸で作成される。この上にトレーシングペーパーを添え、写真等のアタリを書き入れ色指定を行う。これに写真やイラストの原稿を添えて印刷所に入稿する。

*色校
印刷を開始する前段階で印刷所から提出される見本。指定通りに製版はなされているか、用紙との相性はどうか、写真等の調子を確認する。

鴻上尚史第一戯曲集『朝日のような夕日をつれて』(弓立社、一九八三年)。とにもかくにも、これが装丁第一号。



本の各部名称

「表紙」と「カバー」の違いに注意。





本の形状名称







製本の主な種類

「上製」と「並製」があり、例外的に「仮フランス装」が使われる。

◎上製(ハードカバー)

◎並製(ソフトカバー)

◎仮フランス装





印刷の主な種類

カラー印刷(Process4C)、特色(DIC)、箔押しなどを組み合わせる。

◎Process4C
プロセスカラー印刷。「C:Cyan(シアン)」「M:Magenta(マゼンタ)」「Y:Yellow(イエロー)」「K:黒」の4色を掛け合わせることで表現される。

◎DIC
Process4Cでは発色困難な色を表現するために用いる、予め調合された特色インク。DIC株式会社による「DICカラーガイド」により、様々な色が「DIC+番号」によって分類されている。

◎箔押し
金や銀などの箔をプレスすることで、高級感を出す印刷方法。





加工の主な種類

P.P.加工とニス引きに大別され、それぞれツヤのあるもの、ツヤのないもの(マットなもの)の4パターンある。

◎P.P.加工
印刷された表面に透明なフィルム(Poly-Propylene Film)を圧着させる加工。耐久性や耐湿性は上がるが、紙の質感は表現されにくい。
ex.ツヤP.P.加工(グロスP.P.加工)、マットP.P.加工

◎ニス引き
印刷表面を保護するために、透明な薄いニスを引く加工。P.P.加工に比べ、耐久性や耐湿性は低いが、紙そのものの質感は表現される。
ex.ツヤニス引き、マットニス引き



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