これだけ交通機関やネットが普及したいまでは、世界一周の旅をしたことがある人間なんて、そんなに珍しいものではなくなっている気がする。しかし、旅の途中で感じたこと、旅を終えて思うことは十人十色。若さゆえの無謀さで、民族も文化も異なる地へ単身乗り込み、民族的孤独に押しつぶされそうだった旅の最中は、色々なことを落ち着いて考える間もなかった。しかし振り返ってみると、そんな僕の孤独を癒してくれたのも、異文化世界に暮らす人々だったと思う。彼らがいなければ、この原稿を記している僕はいなかったかもしれない。大切なことを教えてもらってばかりだった僕が、彼らの恩に報いるには、何をすればいいのだろう?