被災地の人々は、あまり多くを語ることはなかった。しかし、その言葉の端々に、しばしば、マスコミ報道のあり方に対する憤りがあったのも事実だった。
大島では震災直後の火事で苦しんでいるときに、報道のヘリコプターが上空をぐるぐる飛んでいて、精神的に圧迫されてとても辛かったという話を聞いた。釜石の菊池さんも、かなり遠慮がちにではあるが、こんな話をしてくれた。
「救援物資のランドセルの件もそうですが、テレビ報道ではこちらが伝えて欲しいことがそぎ落とされ、美化された映像や衝撃的な映像ばかりが繰り返し流されてしまっている感がありました。