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NGO世界一周!
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政治・社会
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あとがき

『NGO世界一周!』
[著]阿部亮 [発行]扶桑社


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 二度の世界放浪の旅を経て、多くの人に出会った。当初の「一日一曲作る」という目的こそほとんど達成できなかったが(笑)、そこでの出会いはいまも僕の宝物だ。貧しい人こそ多かったが、そこで聞いた彼らの話は、焼け付く太陽の記憶と紐付いた大切な教訓にもなっている。アラビアン・ナイトの街、サナアで出会い、僕の目を覚まさせてくれた六歳のビジネスボーイをはじめ、すれ違った多くの人々に心から感謝を捧げたい。
「旅の最中、お世話になった人に恩返しがしたい」と思うなかで、NGO・NPO支援という道に進む決定打となる演説を聞かせてくださったNPO法人かものはしプロジェクト代表の村田早耶香さんをはじめ、第三章の取材に快く対応してくださった皆さんにもお礼を申し上げたい。とくに『マジでガチなボランティア』の著者である石松宏章さんとは、本書での対談後、ときに酒を酌み交わし、ときに今後のボランティアのあり方について熱い議論を交わせる仲になった。得難い出会いにも感謝したい。また、第四章で東北人の強さを教えてくれた皆さんにもエールとともに感謝したい。

 そして、ビジネスを成功させる秘訣でもなく、NGO・NPOの実態やつくり方だけに特化したわけでもない不思議な本に最後までお付き合いいただいた読者の皆さんにも感謝の意を捧げたい。「旅」という個人的な体験を通してひとりの人間が何かを感じ、それを実践に移した行動の軌跡のような本――このなかで僕が一番言いたかったのは、「これをどうぞ」「ありがとう」というストレートなコミュニケーションっていいよね、ということかもしれない。
「何を当り前のことを」と言う方もいらっしゃることだろう。しかし、「ボランティア」や「寄付」といったものが僕のなかで大きな比重を持つようになるにつれ、「でもさ、『寄付してます』とかって人に言うものじゃないよね」「ボランティアって自分が気持ちよくなりたいからだけでしょ」といったご意見が多く耳に入ってくるようになったのも事実なのだ。それに対する違和感が日に日に増大していることが、本を書くに至ったひとつの動機にもなっている。

 誤解を恐れずに言うなら、それらの意見は決して間違いではないと思う。事実、第三章に登場した多くのNGO・NPO団体の代表の方々も「自分のために活動しているんです」とおっしゃっていた。だけど、それでいいじゃないかと言いたい。

 “二一世紀を生きる僕たちは問題に関わってしまった世代”だという言われ方をすることがある。複雑化の一途をたどる社会が孕む多くの問題点はもとより、インターネットの普及によって、世界の貧しい国々や日本の僻地の情報が家にいながらにして入手できるようになったことも大いに関係あるだろう。自分がそれらの問題に触れたとき、誰もが差こそあれ心を痛めると思う。先の東日本大震災の際は世界中が日本の被災地のことを思い、「何か自分にできることをやりたい」と思ったはずだ。その思いに「だけど、偽善者って呼ばれたくないからなあ」とリミッターをかける必要はないと思う。

 しかし、この「偽善者」という言葉が持つ破壊力たるやすごい。試しに、自分が「偽善者」と人に言われる場面を想像してみてほしい。想像だけでも、へこんでしまうのではないだろうか。いま、この「偽善」という言葉の意味がなんだか広義になりすぎてしまっていて、善い行いの裏にひとかけらでも虚栄心や利己心があれば「偽善者」とみなされてしまう風潮があるように思う。

 考えても見てほしい。自分が何か言ったり、行動したりするときの心理状態に、何かひとつの感情で一〇〇%満たされていることなんてあるだろうか? だけど、それが人間なのだと思うし、これからも僕は「偽善者」と言われることを恐れず、行動を起こしていきたいと思う。

 今後、日本で起こるだろうすべての災害復興に役立ててもらいたくてつくった、ボランティや救援物資の交通整理や在庫管理を行う無料インターネットサイト「都道府県災害ボランティアセンター」(http://www.todoufuken-saigai-volunteer.com)は、まさに僕の“偽善”の結晶だ(笑)。まだまだ未熟なサイトだけど、僕が幾度となく被災地を訪問してインタビューをした現地のニーズを詰め込んだ「善意の交通整理マシーン」だ。

 東日本大震災に限らず、今後、運悪く被災したどこかの街の人々が、必要なボランティアや救援物資の種類、数量、時期をリアルタイムに全国にネット発信できるとともに、災害の混乱時に多忙な現地の人々の手をできるだけかけない形で、全国からのボランティアや救援物資の応募の受付管理や在庫管理も自動でできる無料サイトだ。日本地図上に詳しくアイコン表示されるボランティアや救援物資などのSOS情報を見た日本中の人々が、被災地のニーズを詳細に汲み取り、すぐに支援の手を差し伸べられる仕組みだ。時間をかけて、この「都道府県災害ボランティアセンター」を発展させていきたい。このサイトを利用してボランティアを行う人々が増えて、日本中の善意が縦横無尽に国内の被災地を飛び回って助け合ってくれたら、とても嬉しい。

 このサイトの制作と運営を助けてくれた、岩手県会議員の岩渕誠さん、気仙沼市会議員の菅原博信さん、大島災害対策本部の皆さん、陸前高田市災害ボランティアセンターの皆さんと福田利喜さん、釜石市役所の皆さん、釜石市ボランティアセンターの皆さん、NPO法人遠野まごころネットの皆さん、一関商工会議所の皆さん、一関市役所の皆さん、岩手県沿岸広域振興局の皆さん、いわて元気TVの佐々木伸郎さん、シアトルコンサルティング株式会社の砂川和雅さんとスタッフの皆さん、そして、司法書士法人新宿事務所のスタッフ達に、心からお礼を言いたい。ありがとうございます。

 本書を読んでくださった方々のなかには、これから自分も困っている人のために行動を起こしたいという方や、何か世のために動きたいとは思っていても手始めに何をすればいいのかわからないという方もいるかもしれない。その際、再三触れているように、まずはムリをしないで、インターネットで色々と調べつつ、日常の仕事もきちんとこなしながら、そのうえで、やれることを、やれる人が、やれるだけやってみてほしい。いま自分が置かれている仕事や家庭、地域環境によってできることは人それぞれ。そのなかで皆が少しだけ勇気を持って、自分ができる範囲でチャンスを見つけてほしい。

 もし、チャンスに巡り合えたら、いきなり両足を突っ込むのではなく、片足の先をちょっと入れるぐらいから始めてみてもおもしろいかもしれない。そこで「ありがとう」と返ってくる言葉に武者震いを感じたら、ガンガンいってもいいかもしれない……。

 お金も大事、「ありがとう」も大事、世間体も大事、カッコつけるのも大事。ヤバイと感じたら逃げるのも大事。とにかく、みんなが自分なりのチャンスを見つけて、もう一歩だけ勇気を持って踏み出せれば、世界はいまよりもっと楽しくて豊かな世界になるかもしれない。ただし、世界も大事だが、一番大事にしなければならないのは、自分でいいと思いますが……。

 そんなことを言っているうちに、僕にも別のチャンスがやってきた。火山噴火からの復興を目指す三宅島の三宅村から、今後の復興計画を考えるための委員会――東京都三宅村総合計画策定委員会の委員になって欲しいというお声掛けをいただいたのだ。

 僕にできることは、いまは何なのかわからないが、とにかくありがたくお受けし、チャレンジしようと思う。


 平成二三年一一月一五日
阿部 亮
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