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中国のマスゴミ ジャーナリズムの挫折と目覚め
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政治・社会
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第三章 中国ジャーナリズムと外国人記者

『中国のマスゴミ ジャーナリズムの挫折と目覚め』
[著]福島香織 [発行]扶桑社


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中国は外国人記者にとって天国?



 なぜ、中国が好きなの? と聞かれることがある。私は即答する。そりゃ、面白いからだよ。中国はネタの宝庫だ。しかも日本の政治、日本人の暮らしに関わるネタも多い。書けば必ず紙面での扱いは大きく、読者の評価も得られる。それは日本人記者だけでなく、外国人記者たちの共通の思いだろう。誰が言ったかは忘れたが「中国は新聞記者の天国だ」という意見もある。この場合の新聞記者は外国メディアの特派員記者のみを指す。



 外国メディアの外国人記者が母国や他の民主主義国に比べて、「仕事が楽しい」と思うのは、それは本来なら取材競争で勝てないはずの現地記者を出し抜いて、特ダネや影響力のある記事を書けるからだ。


 考えてもみてほしい。米国で発生する政治事件、社会事件について、外国人記者が米国の大メディア記者を出し抜いて特ダネにありつけるだろうか。日本で発生した事件事故の記事について、外国人記者が先に書いて、日本人記者が後追いするネタがあるだろうか。(と言いかけて最近一つあったことを思い出した。2010年秋に発生した尖閣諸島海域での中国漁船が海保庁巡視船に衝突した事件を受けて発生した渋谷の抗議デモは、欧米メディアは報じたが日本メディアは報じず、結果的に2度目の抗議デモから後追い取材するはめになった。とりあえず、これはレアケースだとしておこう。中国人記者は、これを「日本人記者も当局から報道統制を受けたのか?」と尋ねてくるが、これは私の知るかぎり報道統制ではない。記者やデスクの怠慢かセンスのなさによる見逃し、つまりネタを落としたのだと思っている。)



 もちろん外国人記者にも報道統制の網はかかり、いくつかのアンタッチャブルなネタに触れれば、外国メディア対応の責任を負う外交部新聞司からクレームもつくし、時にはビザを出さないとも言われるし、現場で公安当局に拘留されることもあるし、もっとひどければ取り調べを受けて、過去に国外退去処分に遭った外国人記者もいる。


 しかし、ジャーナリストビザを与えられた外国人特派員記者であるかぎり、取材によって実刑判決を受けたり、命を奪われたりするケースはめったにない。暴行を受ける場合はたまにあるが、もしあったら外交問題になりかねない(ただし日本の場合、外交問題にしたくないので、日本人記者が公安などから暴行に遭っても、メディア本社が自主的に穏便に処理する傾向がある。具体的にどこの社とは言わないが)。外国人記者たちは、報道統制にからめとられて身動きできない中国人記者たちと比べて、かなりきわどい取材も先鋭的な論評分析も可能なのだ。



 中国で一番売れている新聞は公称325万部発行の「参考消息」だが、この新聞の記事はすべて外国メディア記事の転電翻訳で構成されている。つまり中国人読者が一番興味を持って読むのは中国人記者が取材した記事ではなく、外国人記者の記事なのだ。私の署名記事も、たまにだが参考消息の1面に掲載されることがあり、実はけっこう嬉しい。そういう時は取材先の中国人知識人や現場で会う中国人記者から「参考消息に載っていたね」と声をかけられる。参考消息の記事は当局にとって都合の悪い表現を削除もしているし、何より著作権違反なので、本当は喜んでいちゃいけないのだが、読者や同業者から読まれて関心を持たれている実感、快感は記者の原動力の一つである。


 こういう外国人記者の(比較的)自由な取材活動を中国人記者が見た場合、何を感じるのだろう。この章では中国人のジャーナリズム意識に対する外国人記者の取材の影響力について、いくつかの例でもって考察してみたい。



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