読みたいトコだけ買える本。
犬耳書店
初めての方へ 記事一覧 無料登録 ログイン

犬耳書店はRenta!へ統合いたします

(2021/11/26 追記)

犬耳書店の作品をRenta!に順次移行します。
詳しくはこちらでご確認いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

0
-2
kiji
0
0
1058558
0
エドノミクス 歴史と時代劇で今を知る
2
0
0
0
0
0
0
歴史
お気に入りとは?

お気に入りボタンを押すとお気に入りリストにこのページが追加されます。興味のあるページ・気になったページを後から確認するのに便利です。

お気に入り お気に入り
春日の時代劇論 徳川家康はなぜ嫌われるのか?

『エドノミクス 歴史と時代劇で今を知る』
[著]飯田泰之 [著] 春日太一 [発行]扶桑社


読了目安時間:19分
この記事が役に立った
0
| |
文字サイズ



「神」から嫌われ者へ



 織田信長、豊臣秀吉、徳川家康という戦国の三英傑のなかでも、家康は世間的に人気がある武将とはいえません。時代劇でも悪役として描かれることが多いのですが、いつから「嫌われ者」扱いとなってしまったのでしょう。 


 家康は関ヶ原の戦いに勝利し、慶長8(1603)年、征夷大将軍に任じられ江戸幕府を開きます。将軍職を秀忠に譲った後も、大御所として政治に関わり、死ぬと今度は権現――神として祀られました。江戸の時代、家康は東照大権現、東照神君として神格化され、ある種のタブー性を帯びた絶対的存在だったわけです。そこには好きも嫌いもありません。


 しかし、明治以降に人気を集め始めた講談や時代劇で、朝廷側、官軍に味方をした者はいい者、徳川に味方した者は悪者として描かれることが多くなり、そして新選組などが悪として扱われる一方、坂本龍馬や勤王の志士がヒーロー化される。徳川政権を倒して誕生したのが明治政府ですから、政府側からすれば徳川は敵。当時のお上からすれば、自分たち政府の存在を正当化し、天皇を中心にしたナショナリズムを醸成していくうえで、徳川家、その祖である家康という存在が悪として描かれるのは非常に都合がよかったわけです。


 実は家康だけでなく、この時代に作られた講談の世界では、幕府をつくった人間が悪役として扱われていることが多い。鎌倉幕府の源頼朝、室町幕府の足利尊氏、そして江戸幕府の徳川家康――権力を握った人間が悪役となり、彼らに対抗する者が英雄として描かれて、庶民の人気を集めています。源頼朝における源義経、足利尊氏における楠木正成、徳川家康に対する真田幸村です。「関白」であった豊臣家も「朝廷側」と考えると、幕府をつくって朝廷権力を奪った人間が悪として描かれ、それに対応して朝廷側で戦った人間が正義という物語の図式は、戦前の価値観が如実に表れているといえます。


 大正初期に、講談を速記した「立川文庫」シリーズが人気を集め、『真田十勇士』の物語などから「真田幸村」のイメージが定着すると、同時に「家康=悪役」のイメージも浸透していきます。当時の体制側からすると、幸村を英雄にすることで徳川を否定するのは、自分たちの支配を正当化するのに好都合です。こんなに悪いヤツがつくった政権なのだから、それを倒した明治政府は正しい、となりますから。

この記事は役に立ちましたか?

役に立った
0
残り:8517文字/本文:9492文字
この記事を買った人はこれも買っています
      この記事を収録している本
      この本で最も売れている記事
      レビューを書くレビューを書く

      レビューを書いてポイントゲット!【詳細はこちら】

      この本の目次