『あやしい求人広告、応募したらこうなった。 人気バイトの裏側「実体験」ルポ』
[著]多田文明
[発行]イースト・プレス
次の出勤日、ある男性社員から、私たち新人に作業のコツが伝えられた。
「次々に自分の番号の荷物が流れてきた場合、その担当番号をすべて取りきって、後ろに行かせないことに専念する。そのうち、自分の担当番号の流れは途切れるはずだから、そのときに改めて、コンテナ前に足元の荷物を移動させればいいんです」
「な、なるほど!」
私は声を上げた。なぜそれを前の担当者は教えてくれなかったのだろうか。そうすれば、あんなに精神的に参ることもなかったはずなのに。この会社の人たちは、指示がいつも後追いだ。
今日の作業は順調にいった。自分の荷物が10個近くまとまって流れてきても、それらをすべて一時的に足元に置いて、自分の担当番号の流れが途切れたのを見計らって、それぞれのコンテナ前に持っていく。