『あやしい求人広告、応募したらこうなった。 人気バイトの裏側「実体験」ルポ』
[著]多田文明
[発行]イースト・プレス
ある日、共用廊下の階段の掃除を終えて、ホウキとチリトリを持ってマンション前の道路掃除をしていると、ゴミ袋を持ったおばさんが話しかけてきた。
「おたく、こちらのマンションのお掃除の方?」
「はい……」
私は額に流れる汗を拭いながら、愛想よく答える。清掃をする際は、近隣住民との関係をくれぐれも悪くしないようにと、清掃会社から指示されているからだ。
「最近ね、うちのゴミ集積場のカラスよけネットの上にゴミを置いていく人がいてね。困ってんのよ!」
おばさんは、マンションから少し離れたゴミ集積場を指さす。ゴミはカラスに漁られて散乱している。見るも無残な光景である。