Gという中年男性は、統合失調症を患っていました。今では幻覚妄想や興奮などはなく、静かにアパートで独り暮らしをしています。再燃防止のために服薬は続けねばなりませんが、ことさら生活に支障はない。兄弟姉妹が金を出し合って援助をしてくれるので、無職のままどうにかつましい暮らしを維持していける。
ではGにとって現在は幸福なのか。考えようによっては、働かなくとも容認されているのですし病状も安定しているのですから、気楽な身分といえるかもしれません。だが彼には二つの夢、いや「こだわり」がありました。
ひとつには、マスコミへの就職です。