誰かと待ち合わせるとか、荷物が届くのを待つとか、原稿が書き上がるのを待つといったことならば、それなりに決着が訪れましょう。時間や締め切りに間に合わなかったら、相手に説明を求められましょうし、場合によっては相手を詰ったり非難したり謝らせることもできましょう。
でも、「待つ」といってももっと曖昧な場合がある。たとえば不運や不幸ばかりが重なっているオレは、いったいいつになったら運勢が好転するのだろう、果たして救いが訪れるのだろうかとか、真面目に働いているのに無能な奴ばかり昇進していく、自分には昇進の可能性は失われているのだろうかと自信を失ってしまうケース、解決の目途がつきそうもないが放置もできない事例へアプローチを続けているがひょっとして無駄なことをしているだけではないかと不安になる、成果を出そうと研究開発に専念しているが上手くいかない、でも成功寸前にまで来ているのかもしれないし諦めるタイミングなど見出せない――そんな具合に、待つというよりも生殺しに近い状況に我々はしばしば置かれます。