いきなり話が飛躍しますが、電子書籍と紙の本と、どっちが良いかといった話が取り沙汰されることがあります。内田樹氏が、あとどれ位で読み終えるかという感覚が紙の本ではしっかりボリュームとして伝わってくるが電子本ではそれが分からない。モニターに表示は出ても、実感として伝わってこないのは大いなる欠点ではないかと述べていて深く賛同した覚えがあります。ミステリなんかでは、あとこれだけの頁数で果たして謎はきちんと解明されるのだろうかと心配半分・意表を突く幕切れへの期待半分というのが醍醐味となったり、まだかなり残りがあるのに犯人もトリックも一応解明されているからには二重底の物語に違いないと期待を募らせたり、残りの頁数がもたらす物理的な感覚が読書の楽しみを底上げする。