再三申してきたように、「待つ」という営みはそれが長引けば長引くほど、人を不安や妄想の方向へ追いやっていく。精神は浮き足立ち、視野狭窄状態になっていく。基本的に、辛いことであり苦しいことです。もちろん、遊園地でいちばん楽しいのはアトラクションそのものよりも入場券を買ってゲートを潜る瞬間であるといった類の意見もありましょう。あるいはセックスそのものよりも、彼女がシャワーを浴びているのをベッドで待っているときのほうが胸がときめくとか。でもそれは楽しみの先延ばしを味わっているに過ぎないのであって、仕事で上手くいくかどうか覚束ない状態で耐えざるを得ないようなシチュエーションとは大違いです。