知人の女性から「フェイスブックに登録してまもなく、よくわからないメッセージが届いたんです」という連絡を受けた。転送されてきたメールは「どうしてもお話ししたいことがあってメッセージしました。×××@××.ne.jpが、私のメアドです。フェイスブック内ではちょっと話しづらいことなので直接お話しできればと思っています。メール待っています!」というものだった。
「これって何でしょうか?」そう尋ねられても、私もこの手の誘いは見たことがないので、返答に困った。もしかすると、出会い系サイトであろうかと思ったが、たいていはサイトアドレスを記載し、それをクリックさせて誘導するものだ。これには携帯のメールアドレスしか書かれていない。だが、どこか悪質勧誘のにおいが漂っている。このメールに答えると、どうなるのか。私は彼女になり代わって返信してみることにした。
「某男性タレントのマネージャーをしています」
「メッセージを見て連絡しました。文子(ふみこ)と言います。どんなお話でしょうか?」
すると、すぐに返事があった。
「内容もお伝えしないままメールをしてしまったので、不快な思いをさせてしまっていたら申し訳ありませんでした。フェイスブックでは内緒にしていたのですが、私は芸能関係の仕事をしていて、某男性タレントのマネージャーをしています」
ほう、芸能人のマネージャーをしているのか。さらにメールを読み進める。
「私の担当している男性タレントはテレビや雑誌の取材で忙しく、私から見ても精神的に疲れているようです。恥ずかしい話、私では彼をケアできなくて困っています。彼と一緒にフェイスブックをいろいろ見てまわっていたところ、あなたのプロフィールを見て、何か感じるところがあったらしく『どうしても話をしてみたいから、連絡を取れるようにしてもらえないか』と言われました。突然のお願いにはなりますが、彼と少しでかまいませんのでお話だけでもしてもらえないでしょうか」
さらに文章は続く。
「本来、フェイスブック内で話していただくのが一番いいとは思うのですが、本人は芸能人なので、ネット上で一般の方に連絡をすることは固く禁じられています。しかも本名を出せないので、フェイスブックに登録することすらできません。そこで直接メールでお話していただきたいと思っております。詳しくは本人から直接聞いてください。お返事お待ちしております」
フェイスブックでは原則、本名での登録を促している。だが、これはあくまで原則であって、本名を出すと支障のある芸能人などは、別にタレント名で登録してもいいのではないだろうか。これだけの長文のメールをもらいながら、連絡しないのも失礼にあたる。そこで「わかりました」と書いてメールで送った。
まもなくして返信があった。
「ありがとうございます! いろいろな事情があり今回のお願いになったのですが、本人は連絡を取れることを心待ちにしております。この後は直接本人とやりとりをしていただきたく思いますので、本人が登録をしているSNSのURLをお知らせします。本人のメールアドレスは事務所にて厳重に管理されており、私が直接教えてしまうと大問題になってしまうので、SNSを通じて直接本人から聞いてください。私からこのアドレスでのお返事はここまでとさせていただきます。