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第8章 「老後にたくさんお金を」 「名刺交換」から始まる投資話

『おいしい話に、のってみた。』
[著]多田文明 [発行]扶桑社


読了目安時間:14分
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 路上を歩いていると、男性が「名刺交換してください」と声をかけているのが見えた。道行く人がコートの襟を立てて歩くような寒空のもと、20代の男性が薄手のスーツを着て、道行く人に必死に声をかけている。私の目の前で、あるサラリーマンが立ち止まったので、その横を通り過ぎながら、聞き耳を立てると、「マンション」という言葉が聞こえる。彼はマンションの販売員であろうか。私もかれこれ40代半ばを過ぎ、マンションのひとつも持ちたいところである。彼の話を聞いてみたい気もする。

 しばらくすると、男は次なる人を求めて声をかけ始めた。私は声をかけてもらおうと、来た道を戻り、彼の前を通った。しかしスルーされる。「おいおい、声をかけてくれよ」。そう思い、再び、彼の前を通るが、またもや私を無視し後ろの男性に声をかける。彼はどの人が足を止める人か見る目がないようだ。

「マンションにご興味がありますか?」


 私は仕方なく、彼の前を3度目に通るときに、声をかけた。
「何をしているの?」

 彼は元気よく「名刺交換をしてもらっています!」と答える。そこで私は私書箱の住所を記載した、個人用の名刺を差し出し、彼と名刺交換した。彼の名刺を受け取って見ると、社名と第○営業部と書かれているだけだ。名刺をもらっただけでは、不動産関係者かどうかわからない。

 そこで、私は尋ねた。
「キミは、マンションの販売をしているのですか? さっき、道すがら、“マンション”の声が聞こえたから」
「はい。そうです。マンションにご興味がありますか?」
「まあ」

 すると、彼はいい客をつかんだとばかり、笑顔で話し始める。
「うちは、投資用のマンション販売をしています」
「ほう、投資ですか」
「興味があるならば、一度、お話を聞いてもらえませんか?」
「ええ、いいですけれど」
「明日はどうでしょうか?」

 いきなり、ここでアポイントを取るのか。若干、戸惑いながらも、「明日の午後なら……」と言うと、
「職場はどこになりますか?」
「このあたりだけど」
「それでは、A駅の改札に午後3時ではどうでしょうか」
「まあ、1時間位なら」
「ありがとうございます!」

 名刺交換で声をかけ、アポイントを取るのが彼の狙いなのか。これで話は終わりかと思ったが、そうではなかった。彼は私の名刺を見ながら、「これは会社用の名刺ではないですね」と憮然とした表情で聞いてきた。
「ええ。会社勤めの他に副業もしているので、個人用の名刺です」

 しかし彼は私の副業に興味はないようで、「会社の名刺はありませんか!」と言ってきた。
「今ちょっと切れていて、持ってないなあ」と答えると、「それでは、お勤めの会社はどちらでしょうか?」と聞いてくる。
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