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おいしい話に、のってみた。
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ルポ・エッセイ
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おわりに

『おいしい話に、のってみた。』
[著]多田文明 [発行]扶桑社


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    詐欺や悪質商法は、世の中の制度や仕組み、社会状況に合わせて、さまざまなかたちに変化していく。今回、いくつもの勧誘の手口を体験してみたが、過去の手口とかなり違ってきていると感じる点がいくつもあった。それを踏まえて、現代の詐欺や悪質商法からいかにして身を守るべきかを考えたい。


    以前なら、「お金がない」と言えば、業者はすぐに去ってくれたものだ。しかし今や、この文句は勧誘業者を追い返すための手段としてあまり有効ではなくなってきている。今回、勧誘業者に対して「お金がない」と言って断ろうとすると、業者は引き下がるどころか、逆に親身になって「それでは生活にお困りでしょう」と、私の経済状況を根掘り葉掘り尋ねてくる。

    最終的に、クレジットカード現金化などの手段で「お金を借りる方法」を教えてくれる。不況が長引き、多額のお金を持つ人が減るなか、もはや業者にとって私たちが金を持っていようがいまいが関係なく、ものを売りつけてくるのである。

    最近では、ネットの通信販売でものを買う人も多いだろう。その際、私たちは商品の広告写真や宣伝文句を見て、買うかどうかの判断をする。しかしながら、送られてきたものが、私たちの抱くイメージと全然違っていることがよくある。

    つまり、ネットでは直接にお金を出して買ってみるまで、商品の真の姿がわからないのだ。悪質業者はその点をついて、誇大な広告や宣伝文句で消費者を引きつけて、不当に高い値段で商品やサービスを契約させようとする。今回の勧誘事例でいえば、「投資競馬」や「地図塗り内職」がそれにあたる。

    ここで知っておいてほしいのは、通信販売には商品購入後のクーリング・オフ(8日間以内であれば、無条件で解約できる)は適用されないが、それを補うものとして返品制度が定められていることだ。商品を販売するウェブサイトでは、返品できるか、できないかの記述を必ず載せなければならない。もしこれらの記載がなかった場合、送料は消費者側の負担になるが、受け取り後8日間以内であれば、商品を返品できる。

    しかしながら、悪質業者の中には返品する際の条件を勝手につけて、返品を容易にさせないようにすることもある。自分の手に負えない交渉だと思えば、最寄りの消費者センターなどに相談をするといいだろう。



   「支払いの限度額を決めておく」

    ネット上の取引では、お金を払わなければどんな商品が届くのかが、わからないアドベンチャラスな部分がある。対処法として商品やサービスに支払う上限金額を事前に決めておくことを勧める。

    極論すれば、自分が騙されてもいい金額をあらかじめ決めておくのだ。例えば、月収の10分の1などに設定するといった具合だ。私の場合、現在の収入からいって、万が一、金を騙し取られても、ストレスのない金額は月に2万〜3万円ほどである。この予算枠の中で、商品購入などの冒険をするようにしている。これ以上のお金は、相手業者に対してよほどの信頼感を得られるまでは、絶対に払わない。

    まったく知らない業者と取引するとき、最初の支払いからクレジットにする人がいるが、極めて危険である。出会い系サイトにしてもペニーオークションにしても、最初は現金で試してみて、信頼できるところかどうかを確認してから、クレジットの支払いに切り替えるべきだ。悪質なサイトでクレジットを利用してしまうと、知らぬ間に利用料金が膨らんでいき、多額の負債を抱えることになる。

    ただし、ここで注意しなければならないのは、少額でもいったんお金を出すと、さらに大きな金を業者から何度も請求されるケースである。悪質商法の常套手段として、最初は少ない金額を請求して、次第に金額を釣りあげていく手法があるからだ。この手口にはまらないように気をつけながら、自分で決めた上限額に達したときには、心から信頼ある業者だと判断しない限り、一切、応じないようにしてほしい。



   「身元不明な相手と対峙するときは」

    以前なら、業者は手当たり次第に勧誘していたものだが、今はそうした手は取らない。何度も電話をして、ターゲットになる人物の十分なリサーチをしてじっくりと値踏みする。そして脈ありとみるや、一気に勧誘のワナをかける。

    今回、私が体験した勧誘の多くも、しつこく電話をかけてくるが、毎回、商品購入を迫るようなことはなかった。それよりも「先行きの生活に不安はありませんか?」などと、私を心配する素振りを見せながら、現在の状況を聞き出そうとする。ただしそのとき、業者は本来の販売する目的を隠して近づいてくる。業者が親切、親身な姿を見せても、それは羊の皮をかぶったオオカミにすぎない。その化けの皮をはがすためには、親身な素振りを見せる相手にぞんざいな態度を取ったり、否定的なことを言うのもいいだろう。さらに相手の言葉に同意せず、いちいち反論する。すると、相手はものを売りつけられない思いから怒りだすなど、その本性を現すはずだ。

    この正体を不明にしたままターゲットとじっくり話す手法は、思想系の勧誘でもよく使われる。人生訓などを教えるふりをして、自らの思想や教義を無意識のうちに刷り込み、精神的に逃げられない状態にしてから金を出させる。ときに、その思想にはまり、入信してしまう人もいる。

    本来、思想や教義というものはその人生を変えるような大きな力を持っている。それにもかかわらず、教えの出どころを伝えず、その思想に染めてしまおうとする行為は、私たちの重要な意思決定の場を奪っていることになり、絶対にやってはいけない行為だ。相手が思想系の団体と思しき場合は、自分の身を守るためにも、相手の正体が明らかになるまでは、絶対に次の勧誘ステップに進んではいけない。

    これはネットを利用しているときも同じである。ネットでは匿名で掲示板に書き込め、SNSなどではニックネームのままで多くの人とコミュニケーションを取れてしまう。それゆえ、その延長で相手の業者をしっかりと確認することを忘れて、商品の購入を決めてしまいがちである。

    いずれの場合でも、大きなトラブルに巻き込まれないために、常に相手の身元やおいしい話の根拠の確認を怠ってはならない。

    これからも社会情勢の変化により、勧誘の手口は変わってくる。今後も私は、さまざまに変容する勧誘事情をリポートしていくつもりである。
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