日本は老舗が多い国
世界で最も老舗企業が多いのが日本である。
フランスにもエノキアン協会なる老舗の集まる会があって、古さを誇っている。そこでは創業二百年以上の会社のみが加入を許されているが、ヨーロッパ中から百七十四の会社が候補に上がった。しかしそれに値する企業は、日本一国だけで少なくとも二百社以上あるのである。
その協会の最も古い会社は、フィレンツェのトルリーニ社という金銀細工の企業であるが、創業一三六九年である。ところが日本ではそれ以前の古い会社が十四社以上もある。最も古い企業は五八九年のもので、それより八百年も古いのである(横澤利昌『老舗企業の研究』生産性出版、二〇〇〇年)。
中国では共産党独裁政権下で多くの企業は潰されたが、しかし漢方薬とかお茶、陶磁器といった中国ならではの企業が残っている。最も古いのは漢方薬の北京の同仁堂で、清朝初期の一六六九年創業である。