「日の丸」の歴史
明治七年(一八七四)、国民の間に“イギリスが日本に「日の丸」を買いたいといってきた”という噂が広まった。やがて、“イギリスは五百万円の値をつけた”とか、“駐日公使のパークスが、外務卿の副島種臣と交渉しているが、西郷隆盛が売却に反対している”などの、真偽不明の噂が、次々と発生する。しかしこれは、まったく根拠のない噂でもなかったらしい。
時代は下って日清戦争後のことであるが、そのころ確かにイギリスから日本にそういう話があったということを、薩摩藩出身で後に首相となる松方正義から、旧薩摩藩主・島津忠義が、「他言無用」と口止めをされた上で、聞いているからである(安津素彦『国旗の歴史』)。
ともあれ、わが国の国旗「日の丸」は、欧米人が高価な値で買い取りたくなるほど、センスのよいデザインの旗であったということは、まちがいない。戦後の日本では、国旗・国歌に対するマイナス・イメージを植えつける偏向教育が、広く、かつ長く行われているが、それは事実にも真実にも反する教育である。