軍事革命の三要件
ヨーロッパは十六世紀に「軍事革命」を経験した。「軍事革命」とはG・パーカーの名著 The Military Revolution(『軍事革命』、邦訳名は『長篠合戦の世界史』同文舘)で人口に膾炙することになった世界史上の大事件である。パーカーが明らかにしたのは、ヨーロッパによる世界制覇は「十六世紀の軍事革命」によったという事実である。
十六世紀の日本は戦国時代である。当時の日本も、実は、軍事革命を経験していた。では、ヨーロッパと日本を比べたとき、何がいえるのか。
軍事革命の要件は三つある。第一は火器の発達、第二は軍隊の増強、第三は要塞の強化である。ヨーロッパが軍事革命の只中にあった十六世紀半ば、日本列島に最初のヨーロッパ人が姿を見せた。一五四三年、種子島に中国ジャンク船(船長五峯)が漂着したが、そこに「南蛮人(ポルトガル人)」が乗船しており、彼らは火縄銃を持っていた。それを見た種子島領主の時堯は弱冠十代後半の青年であったが、大枚を投じてそれを購入した。
南浦文之『鉄炮記』(一六〇七年成立。