銀産国日本はスペインと並ぶ経済大国だった
二〇〇七年、島根県石見銀山がユネスコ世界遺産に登録され、にわかに注目を集め、観光客が古い街道に充ち溢れている。二十年ほど以前には、石見銀山はほとんどの日本人にはまったく知られていない鉱山であった。どうして日本人もろくに知らない銀山が、突如として世界に知られるようになったのか。実は驚くべき事実が明らかにされたのである。
というのは、同銀山の最盛期であった十六世紀後半から十七世紀初めには、その銀産出量が実に「世界産出量の三分の一」を占めていたというのである。この数字については、現地の観光案内その他関係団体の発行する説明書の一部には「世界輸出量の三分の一」とあるが、いずれにしても西洋中心主義の歴史観が支配していた時代には無視されてきた日本ではあるが、実は世界的な産出量を誇った銀山が存在していたのである。