城は軍事的
まず、日本の城郭建築は、城(人の居住する)として最大の木造建築である、と述べることができるであろう。木造・寺院建築では奈良の大仏殿があるが、姫路城は残る城としては最大である。ただ木造という点だけ強調すると、石造である西洋や中国のお城にも大きなものがあり、かえって防備機能からすると脆弱に見えるかもしれない。しかし、日本で城がこれだけ美しく、気品のある姿になったのは、居住性と共に、城郭建築の基本に美的観点という別の要素があったからである。
確かに城というものは、軍事的な目的があるかぎり、そのような美しさは必要がない。防御により画一性が生じて、どこも同じような軍事中心のお城が出来るであろう。しかし、これだけバラエティがある日本の城郭建築は、それよりも、各地の領主の威光を示す宮殿としての意味があったのである。
今はないが、その城郭建築ではおそらく最高のものと考えられる安土城について、宣教師の一人ルイス・フロイスは次のように述べている。