うるしは「うるわし」
ジャパンとかジャポンという日本の国名が、西洋では漆器を表すことはよく知られている。日本人にとっては意外に聞こえるかもしれないが、西洋ではそれほど、この漆器が日本を象徴するような美しさを持っていたのである。日本人自身も、もともとこれを「美しいもの」と思っていたことは「うるし」の語源が「うるわし」「うつくし」に通ずることからもわかる。そうした最近の考古学の調査では、日本が最も古い漆の国であることが明らかにされた。
これまでは長江(揚子江)流域の河姆渡遺跡で発見された七千年前の中国の漆工品が最古のものといわれ、日本では六千年前の縄文時代のものも、大陸から渡って来たものであった、と推定されていた。それが北海道、垣ノ島B遺跡から出土の赤色漆で、九千年前という炭素測定の結果が出てきたのである。つまり中国のものよりも二千年も早いのである。