伊能忠敬の測量
今から約二百年前、江戸時代の後半に、伊能忠敬らによって『大日本沿海輿地全図』、通称『伊能図』といわれる日本地図が作られた。今でこそ航空写真をもとに正確な地図を作成することは容易いであろうが、伊能忠敬は、日本全土を実測踏破し完成させたのである。伊能忠敬のこの地図作成にかける情熱と技術の高さに驚嘆させられるとともに、あらためて日本人の“すごさ”を思い知らされる。
伊能忠敬は、江戸時代後半の寛政十二年(一八〇〇)、五十五歳という年齢をものともせず、蝦夷地を目指す第一次測量を皮切りに、十七年間、第十次(忠敬自身は第八次測量まで)にわたる測量を、全国に向けて実行している。忠敬一行の測量は、次の方法で行われた。

歩測。厳しい訓練をした複数人の歩測の平均値で距離を求めた。