日本の治安は悪くない
テレビや新聞ばかり見ていると、日本の治安は日々悪化し、犯罪はますます増えて、凶悪化する一方のような印象に陥ることがある。猟奇的な犯罪事件が連日マスコミで、詳細、克明に報道され続けているからであろう。しかし、国際的に見れば日本ほど治安の良い国は世界には稀である。また、殺人や強盗などの凶悪犯罪も増加の傾向にあるとはいえない。
『犯罪白書』によれば、刑法犯の認知件数は平成八年以降、毎年戦後最多を更新し、十四年には三百七十万件近くまで増加していた。しかしその後は一転して四年連続で減少し、十八年は前年比マイナス七・九%、十九年はマイナス六・五%の大幅な減少となった。凶悪犯罪のバロメータといえる殺人、強盗、放火、強姦、薬物犯罪の認知件数も、増加傾向にあるとは見られていない。