先進国の中で最も森林の多い国
自然環境との調和が叫ばれるようになって、日本の環境思想といったものがいったい何であるか、問われるようになった。すでにこの書でも、世界一の「八百万の神々」の項で述べたように、日本人が自然神を神道の一環として信仰し、自然を敬う伝統を持っていることを述べた。
自然を征服し、コントロールしようとする人間中心主義の西洋や中国の、自然破壊に対するアンチ・テーゼとして打ち出すこともできる思想である。明治初期に日本に来たフランス人、エミール・ギメは次のようにいった。
「初めから日本人は、自分たちを取り巻いている自然に驚嘆していた。日本人は慈悲深い大地と、魚がたくさんいる海を崇拝した。神々が彼らを幸福にしてくれるのだと心底から考えた。熱と、光と、肉体の喜びや見る喜びを与えてくれ、目の前で汁気の多い果物を熟させ、足元には見事な花を咲かせ、網の中においしい魚を投げ入れる超自然の力に、彼らは大いに感謝していることを示した。そこで日本人は黙想し、手を合わせ、頭を下げて礼拝したのだ。