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だてマスク依存症〜無縁社会の入口に立つ人々〜
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ルポ・エッセイ
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◎[だてマスク]がひそかに増殖中!

『だてマスク依存症〜無縁社会の入口に立つ人々〜』
[著]菊本裕三 [発行]扶桑社


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[だてマスク]という言葉をご存知だろうか?

 風邪をひいているわけでも、花粉症でもないのに、常にマスクをしている──これが[だてマスク]だ。マスクをつけていると自分の存在を隠すことができて、安心するのだという。2010年の後半あたりから、首都圏の都市などで[だてマスク]をつけた中高生の姿が見かけられるようになった。
[だてマスク]をつけるのは主に顔を隠すためだというが、その“効果”は人それぞれのようだ。彼らがマスクを外すのは、食事や入浴、寝るときくらいで、基本的に一人でいるとき以外はマスクを着用するという。コーヒーやジュースなどを飲むときも、マスクを耳にかけたまま口の部分だけ外して器用に流し込む。家で家族といるときもマスクをつけており、自分の部屋に戻り、一人になってやっと外すという人も多いらしい。

 あまりの徹底ぶりに驚くが、彼らはなぜ、[だてマスク]をつけるのか?

 神奈川県の高校2年生、和久井義人さん(仮名)は、しばらく考えてからこう教えてくれた。
「何となく落ち着くから」

 ほかにも[だてマスク]には、このような“効果”があるという。
「何かあっても受け流せる。本当はビビってても、堂々としていられるからラクなんですよ。学校でもつけているけど先生に怒られることもないし、友達も別に気にしてない。マスクをつけてる友達も結構いるし」

 男子だけでなく、女子中高生にも[だてマスク]をつけている人は少なくない。

 都内の女子高に通う内山佳代さん(仮名)はこう話した。
「顔を隠していれば、他人の視線に触れないですむから、気分的にラクなんですよ。強くなるわけじゃないけど、違う自分になった感じで、いちいち相手と取り合わないでいいじゃないですか。人とのやりとりをしないでいいからラクというのもあるし、マスクをしていれば誰かからストレートに意見を言われることもない。そういうのって苦手だし、直球でものを言われることがないっていう安心感はありますね」

 

 2011年に入ると、都内でも[だてマスク]をつけた若者が増え、同時に大人たちのあいだにも目立つようになってきた。
『女性セブン』(2011年3月10日号)は「マスクなしで出かけられない症候群」というタイトルでこの現象を報じている。

 記事(ネット配信分も含む)によれば、渋谷のセンター街で行われたマスク姿の10代〜30代の男女100人へのアンケートに対して、[だてマスク]をつける理由を彼らはこう語る。
「誰とも話したくない気分だから」(19歳・大学生)
「表情をつくるのが面倒くさくて」(16歳・高校生)
「眠いのを隠すため、バイト中はいつもする」(25歳・ショップ店員)
「のどの保湿目的もありますけど、電車の中とか人込みでマスクをしていると外部から自分が守られている安心感があるんです」(25歳・会社員)

 さまざまな声が聞かれたが、エステティシャンの女性(24歳)はこう明かす。
「マスクは自分にとっての自己防衛。仕事中はいつもマスクをしているが、苦手なお客様と接するときは、目は笑いながら口パクで文句を言っている。マスクは本音を隠すことができる隠れ蓑としても必要なんです」

 
「顔を露わにしていると、自分のテリトリーに他人がずかずか入ってきそうで嫌なんですよね。それも不安なのかも」

 前出の男子高校生、和久井さんはこうも話した。

 彼らは[だてマスク]をつけることで他人との距離を取ろうとしているようだ。それほどまでに“鎧”や“戦闘服”、あるいは[だてマスク]を身につけることで、本当の自分を守りたいようにもみえる。

 だが、他人との距離を取るということは、人間関係の希薄化につながる。彼らはたとえ孤独でもいいから、本当の自分を守りたいとどこかで考えているのだろうか。

 
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