有料の話し相手サービスを提供する「聞き上手倶楽部」を立ち上げてから、5年の歳月が流れた。まだ、誰もやったことのないこのサービスを始めようと思い立った2006年は、ちょうどうつ病の増加がニュースなどで取沙汰され始めた時期と重なる。
厚生労働省が3年ごとに全国の医療施設に対して行う「患者調査」によれば、1999年のうつ病の患者数は44万1000人。その後、患者数は急増し、2008年には104万1000人と、はじめて100万人の大台を突破した。9年間で患者数が倍増したことになる。
うつ病は、日常生活に支障をきたさないような軽症例もあるが、重症になると自殺など生命にかかわる可能性を孕む。うつ病を反復する症例では、20年間の経過観察で自殺率が10%程度とされるように、“やる気”や“根性”などで治すことのできない精神疾患だ。