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だてマスク依存症〜無縁社会の入口に立つ人々〜
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ルポ・エッセイ
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【ケース(1)】自己責任という呪縛にとらわれたサラリーマンの苦悩

『だてマスク依存症〜無縁社会の入口に立つ人々〜』
[著]菊本裕三 [発行]扶桑社


読了目安時間:3分
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「『聞き上手倶楽部』をはじめて知ったときは、おっ、何だ、この怪しそうなのは! どんな感じかとりあえず電話してみよう、っていう感じでしたね。冷やかし半分みたいなところもありましたね(笑)」

 軽い気持ちのはじめての電話から、すでに3年の歳月がたとうとしている。

 大手ゼネコンの二次下請けの解体会社で現場監督を務める原田賢治さん(仮名・37歳)は、「聞き上手倶楽部」との付き合いの始まりをこう振り返った。当時は仕事がきつくなるばかりで、原田さんは精神的に追いつめられていた。「冷やかし半分」とは言ったものの、残りの「半分」の心境はかなり深刻なものだったという。
「ウチの会社では、工期は絶対なんです。遅れることは許されない。でも、リーマン・ショック以降は景気後退の影響をもろに受けて、まず人が減らされた。さらに工期も短縮されるようになったから、人はいないのに仕事の量がどんどん増えていく……そんなの間に合うわけないし、どうすればいいんだよ! って、すごく焦っていたし、いつも追い立てられるような感じでした」

 
理想的な中間管理職を装い、それに疲れ果てたという ※写真はイメージで本文とは関係ありません

 

 2008年9月、世界を金融不安に陥れたリーマン・ショックは日本経済にも深刻なダメージを与えた。バブル崩壊後、2002年には5・5%まで上昇した失業率は、一度は3%台にまで改善されたが、リーマン・ショック後に雇用情勢は急速に悪化し、2009年7月には過去最悪となる5・6%の失業率を記録した。

 建設や解体の現場には多くの労働者が必要とされるが、その中核をなすのは派遣社員やアルバイトといった非正規雇用の労働者だ。リーマン・ショックによる業績悪化に対処するために多くの企業が雇用調整を行い、特に製造業や建設業で単純労働に携わる労働者は真っ先に職を失うことになったのだ。工場の操業を止めた製造業ならまだしも、建設や解体作業の現場は途中でストップすることはできず、当然人手が足りなくなる。原田さんの現場も例外ではなかった。
「ただでさえ工期が短くなっているのに、長く作業できない事情があって……解体の現場ってどうしても騒音は出るし、ほこりも舞う。もちろん、近隣の住民に配慮しつつ仕事してるんですが、クレームが入ることも少なくない。朝8時には現場に着いてるのに9時からしか動けなかったり、土曜日は音を出さないでくれとか。

 そんなのシカトして仕事しちゃえばいいっていう同僚もいるし、実際にそうしている人もいるんだろうけど自分にはできない。あの頃は毎日すごいプレッシャーを感じてました。上は工期を守れって言うし、下は仕事がきついって文句を言ってくるし、現場近くの住民たちは言いたいこと言ってくるし……じゃあ、オレはいったいどこに文句言えばいいんだよ、って。それで『聞き上手倶楽部』にはじめての電話をしたんですよ」

 ただのグチなら家族や友人にすればすむ話だ。なぜ原田さんは私たちのところに電話をかけてきたのだろうか。

 
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