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(2021/11/26 追記)

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韓流エンタメ日本侵攻戦略
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はじめに

『韓流エンタメ日本侵攻戦略』
[著]小野田衛 [発行]扶桑社


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 2003年、ぺ・ヨンジュン主演のドラマ『冬のソナタ』から始まった韓流ムーブメントは、年に少女時代やKARAなどK‐POP勢が日本進出したことによって新章に突入したといえる。

 当初はオバさんばかりだったファン層も、今では完全に様変わりした。「韓流の聖地」と化した新大久保ではド派手なハングル文字のネオンが深夜までギラギラ光り、週末ともなるとK‐POP好きの若い女子が束となって道に溢れている。

 テレビでは、毎日すさまじい本数の韓流ドラマが各チャンネルから流れており、朝の情報番組でも韓国タレントの動向を詳細に報道。レンタルショップに行けば、ラブコメから時代劇まで韓国ドラマだけで巨大な棚が展開されている有り様だ。

 他にもカラオケ、CM、雑誌、CDショップ、コンビニ、化粧品売り場、スーパー、携帯ショップなど、われわれの生活のありとあらゆるところに韓国芸能界は進出している。もはや日本人にとって韓流とは一過性の「ブーム」などではなく、「日常の一部」になっているのが現実だ。その経済波及効果は計り知れない。


 しかし、である。これだけ流行っているにもかかわらず、韓流やK‐POPの何がいいのかさっぱりわからないという人が少なからずいるのも事実。むしろ30代以上の、特に男性に関していえば、そっちのほうが多数派であると予想される。

 同時に、なぜ人気絶頂のKARAや東方神起が契約をめぐって分裂騒動を起こすのかわからないし、なぜ女優たちが自殺ばかりするのかもわからない。そもそも自分の娘や妻がなぜこれほど韓国芸能人にハマっているのかすらもわからない……そんなお父さんも多いことだろう。


 韓流とは一体何なのか? なぜ韓国タレントがこんなに人気を集めているのか?


 最近、韓流の主流になっているK‐POPに関していえば、根底にあるのは徹底した「マーケティング」と「教育システム」、そして「グローバル戦略」である。「絶対に売れる」という勝利の方程式に沿って作り上げられたアイドル。彼ら彼女たちは、いわば「芸能サイボーグ」なのだ。

 その手法に関しては本書で細かく解説していくが、ことグローバル戦略という点では、日本より進んでいるというのが正直なところである。

 いまや韓流カルチャーの波は、日本、中国、タイ、台湾、インドネシアなど東アジア諸国にとどまらず、中東や南米、そしてヨーロッパにも飛び火している。世界中の若者たちが、韓国のアイドルに対して「カッコいい!」「可愛い!」と熱狂している。

 もちろん韓流やK‐POPのおかげで、韓国という国家のイメージは格段に上がった。韓国の芸能人たちは、諸外国で外貨を稼いでくるのみならず、自国の観光収入を導き出し、LGやサムスンの製品が世界進出する際の手助けになっている。私の知人でも「韓流ブームのおかげで勝手に会話が弾むので、格段に外国で仕事がしやすくなった」と指摘する韓国人ビジネスマンは実に多い。


 こうした背景の一つとしては、違法ダウンロードによって国内でCDがまったく売れなくなったというIT先進国ならではの悩みがある。CDが売れず、なおかつ会場の問題もあって日本ほどライブが頻繁に行なえない。そのため、海外進出を余儀なくされたという経緯があるのだ。

 だがしかし、日本とて対岸の火事ではない。今の韓国の状況は3年後の日本の姿だとも言われているからだ。日本で今よりCDが売れる時代が来ることは、まずないだろう。音楽不況はますます深刻化するはずだ。そうなると、日本のエンターテインメント関係者も指をくわえてK‐POPフィーバーを眺めているのではなく、韓国から学ぶべきこともあるはずなのである。


 その一方で、韓国芸能界が抱えている問題点も数多く存在する。

 東方神起、KARA騒動の際に注目された「奴隷契約」問題などは主な例だが、システムの不備からくるトラブルは様々な局面で頻出しており、業界全体が不安定である。実際、日本の芸能関係者の中には、「勘弁してくれよ!」と韓流スターとの仕事に悲鳴を上げているケースも数多くある。


 この本では韓流やK‐POPの真の姿を正面から捉えたつもりだ。

 日本における今までの韓流報道とは、事務所の許可やチェックを受けるタイプの「アーティスト紹介記事(提灯記事ともいう)」、それとは別に無許可で行なう「飛ばしのスキャンダル記事」の2種類しかなかった。だから「韓流が何なのかよくわからない」と嘆く人が多いのは、実は当たり前の話なのだ。

 本書を執筆中も、俳優の高岡蒼甫がTwitter上での発言から所属事務所を解雇されるという出来事が起こった。高岡は「TV局の韓国おし無理。けーPOP、てめーの国でやれ」「ここはどこの国だよって感じ。洗脳気持ち悪い!」などと、韓流コンテンツを放送するテレビ局の姿勢を痛烈批判。また、これに呼応した嫌韓層が、君が代を歌いながら「天皇陛下、万歳!」と叫ぶなど、テレビ局前で過激なデモを敢行した。

 こうした「ネトウヨ(=ネット右翼)」と呼ばれる一部の層が極端な言動に走る裏には、韓流コンテンツに対する無理解がある。つまり、なぜ日本のテレビ局が韓流ドラマを放送するに至ったのか、その経緯がわからないのだろう。

 本書では取材で得た関係者の証言を織り交ぜながら、韓国芸能界の「すごさ」と「もろさ」をストレートに伝えたつもりだ。韓流のビジネスモデルに関しても、一歩踏み込んで記している。いたずらにスキャンダラスな裏側を暴露する類の内容ではないが、今まで噂話ばかりが広まっていた「K‐POPが国策事業だとする説」や「マスコミによる人気捏造説」についても言及している。

 韓流やK‐POPについて思考すると、どうしても単に韓国の芸能界という狭い世界の出来事では収まらず、韓国社会の特異性──広くは日韓文化論に行き着いてしまう。日韓の違いについて考察を重ねないことには、見えてこないことがあまりにも多いからだ。そしてドラマやK‐POPの向こうに透けて見える韓国の姿は、韓流ドラマ以上に刺激的だったりもする。


 今、韓国はダイナミックに変貌を遂げている真っ最中だ。韓国が「近くて遠い国」から「近くて近い国」に変わりつつあるからこそ、韓流ドラマやK‐POPが好きな人はもちろん、エンターテインメント業界に携わる人や興味がある人、韓国人と仕事をする機会がある人、韓国人の友人を作りたい人、韓流に夢中な娘、部下、生徒の心情を理解したい人……すべての人に読んでいただきたいと心から思っている。

小野田 衛
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