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(2021/11/26 追記)

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◎間が取れない

『行間力』
[著]宮川俊彦 [発行]扶桑社


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 少し前の話になりますが、著名な老歌舞伎俳優が新人人気タレントと共演したときのこと――。肩に力が入ってやる気満々のその若手と息が合いません。何度もやり直すことになりました。その時、老歌舞伎俳優が、ふとつぶやいた言葉が今も耳に残っています。
「間がねぇ」

 映画監督をしている友人にそんな話をしたら、「芝居は『間』の芸術」という話になりました。

 彼は、「少し前までの日本映画は、実によく『間』というものを考えて、それを演出していた。それに比べると、最近の日本映画は、やたらしゃべくり漫才のように言葉が矢継ぎ早に出てくる。技術も演技力も向上し役者の数も増えたが、『間』の意識は希薄になった気がする」ということを語っていました。

 確かに最近は、セリフが多い芝居が目に付きます。恋愛物などは、セリフのあまりない方がかえって味があると思いますが、この頃は、なんでも言葉にしないと気がすまないという風潮もあって、ポンポンと言葉が出てきます。「好きです」「愛しています」なんて恥ずかしくて、ボクなどとても言えません。
「想いを無闇に口にしない」という美意識には味があります。そんなセリフを語らずに“それ”と理解し合う領域を育んできた文化が日本にはあります。
「ある日突然、二人が黙り込む」――こんなシチュエーションでは、言葉をのみ込んだり、それを越えた境地を感じ合うものと思われますが、いまやこうした沈黙は気まずいものになっています。「なにぃ、この沈黙〜」などと揶揄(やゆ)され、笑いの対象になるほどです。そんな状況の中で、若者たちは、空間に隙間なく言葉を埋めることがコミュニケーションなのだと考えたのではないかと思います。

 とにかく「しーん」としているのでは白けるので、笑いでも取っていないと「間が持たない」と彼らは言います。

 時々、テレビを見るとはなしにつけていて思うことがあります。それは、テレビの映像が画面の連続だということです。当たり前のことですが、気になると不思議な感覚になるものです。民放はいうに及ばず、NHKも宣伝が番組と番組の間を埋めていて、映像と音声が放送終了まで続きます。のべつ幕なしとはこのことで幕間(まくあい)がありません。面白いCMなどが流れればトイレにも立てません。次々と繰り出す見世物が耳目(じもく)を引き付けます。

 3分や1分くらいは停止していてもよさそうなのに、立錐(りっすい)の余地なくペンシルビルの立ち並ぶ大都市と同じで、そんなもったいないことはできないということなのでしょう。

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