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人生の極意
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生き方・教養
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質問(18) 日本はキリスト教徒には生きづらい国です……

『人生の極意』
[著]佐藤優 [発行]扶桑社


読了目安時間:4分
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 日本はキリスト教徒にとって、生きづらい国です。私はプロテスタントのクリスチャンホームで育ったために、逆に宗教を見失ってしまいました。教会関係での不幸な事件や教師の無理解と偏見があったからです。洗礼も拒否し、無宗教を通してきましたが、この年齢になって、逆に人生の拠りどころを見失ったと感じています。もし、人格的にも優れ、温厚で信頼できる牧師がいるなら、一度、話してみたいと思っています。最初から、宗教について希薄な一般家庭よりも、理解があったがために傷つき、彷徨うことになり、心に神を持てない状態のほうが不幸のように思います。人間によって信仰を失った場合、人間によって回復するしかないように思うのです。そんな私が頼りにできる牧師はいらっしゃるでしょうか?

小雪(ペンネーム) 著述業 39歳 女性



回答 国家と癒着する欧米キリスト教徒のほうが生きづらい


 私はプロテスタントのキリスト教徒ですが、日本がキリスト教徒にとって生きにくい国とは思いません。むしろ欧米のキリスト教文明に属する諸国のキリスト教徒のほうが、困難な問題を抱えています。それは、キリスト教が国家と癒着しているからです。キリスト教が、特定の国家が国策として進める戦争を全面的に支持することは絶対にありません。政治から徹底的に距離を置くことは、神学的な議論すら必要のないキリスト教の基本中の基本ですが、そのことがわからずに体制のイデオロギーに堕してしまっているキリスト教が欧米ではほとんどです。313年にローマ帝国のコンスタンチヌス大帝がキリスト教を公認したときから、キリスト教と国家の癒着が始まったのです。カール・バルト、ヨゼフ・ルクル・フロマートカなど20世紀の傑出したプロテスタント神学者は、国家との癒着を断ち切った「コンスタンチヌス大帝以前の時代」に対応したキリスト教に再編せよと訴えましたが、現代キリスト教の主流になるには至っていません。その点、キリスト教徒が人口の約1%(公式統計値。実際はその半分もいなく、日常的に教会に通っている人は、さらにその4分の1くらいと思います)である日本では、キリスト教と国家が癒着する危険性はありません。これはキリスト教徒にとってよいことです。


 キリスト教の目的は人間の救済です。理屈ではなく、イエスを救い主と告白することで本当に救われたと感じることができるかどうかがキリスト教のカギです。故・魚木忠一先生(元同志社大学神学部教授)は、キリスト教徒であることを徹底的に考え抜いた人です。先生は〈基督教は精神的宗教である。精神といふ語は色々に用ひられ、意味内容が不明瞭になり易いものであるが、此処には、教理を中心的なものとみる教理的哲学的宗教から区別する意味で、精神的宗教といふ語を用ひようと思ふ〉(『日本基督教の精神的伝統』3頁)と言っています。


 精神的をスピリチュアルと言い換えても構いません。キリスト教はスピリチュアルなのです。この目に見えない感覚をよく理解してくれる牧師さんや神父さんに小雪さんの抱えている問題を相談してみるとよいでしょう。このとき重要なのは、牧師や神父に対して疑似恋愛感情を抱かないことです。牧師や神父の仕事は、人間の救済は神様にしかできないという真実を小雪さんに納得させることです。人間的に「少し冷たいな」というような感じの牧師さんや神父さんのほうが、宗教人としては優れています。日本の牧師や神父は、カトリック、正教、プロテスタントのいずれにおいても、きちんとした神学的訓練を受けているので、基本的にどの教会に行っても、親身に相談に乗ってくれます。準備の問題もあるので、事前に相談を手紙かメールで文章にしたほうが、抱えている問題を理解してもらうために適切と思います。


【参考文献】『日本基督教の精神的伝統』魚木忠一 大空社

他宗教に対する日本における洞察を交えながら、キリスト教がギリシャ、ラテン、ローマなどの諸類型に次ぐ「東亜類型」として発展したことを指摘。復刻版として'96年刊



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