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質問(36) 大麻取締法違反で逮捕・拘留中の身にあります

『人生の極意』
[著]佐藤優 [発行]扶桑社


読了目安時間:4分
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 現在、千葉の拘置所に身柄を拘束されている身分にございます。理由は、大麻取締法違反です。しかし、今回の逮捕はある種の冤罪的理由でございまして、私は無罪を争っている次第でございます。'10年に「大麻草検証委員会」という団体が弁護士の丸井英弘先生はじめ、都・区議会議員数名、作家の先生数名により立ち上がりました。検証委は、法の運用の改善と改正を約束する政治家・政党の支援、米カリフォルニア州の大麻解禁運動と連帯して各種活動を行う旨、申し上げておりました。大麻が先入観でもって有害であるとされている日本の状況を貴殿はどうお考えでしょうか? また大麻取締法の運用改善に向けてどのような活動をしていくべきでしょうか? ご意見頂けたら誠に幸いに存じます。

匿名希望 勾留中の身 34歳 男性



回答 大麻は“他者危害排除の原則”に抵触する


 大麻を合法化するか否かについて、カギとなるのは「愚行権」についての解釈です。耳なれない言葉ですが、近代社会において誰もが他者から見て愚かなことであっても、人はそれを行う権利を持ちます。愚行権について、哲学者の加藤尚武氏はこう説明します。

〈個人主義と自由主義の原則は、個人と個人は互いに独立しているということである。例えば、自分の所有物は自分で勝手に処置していい。その原則は「他人への危害を生み出さない限り、個人の行動に法的干渉をしてはならない」という他者危害排除の原則に集約される。(中略)この考え方は「愚行権は理性的根拠に優先する」と言ってもいい。他人に迷惑をかけない限り、個人には愚行を妨げられない権利がある。(中略)ところが問題は「他者への危害」が生まれる範囲である。私の隣でピストルの練習をする人がいたら、私は「止めてくれ」と言うだろう。その男が「俺はピストルの名人で隣人を撃つようなドジは踏まない」と返事する。私は「君のピストルの腕前とは関係ない。他人に危害が及ぶ常識的な可能性があるから、禁止されるべきだ」と主張する〉(『環境倫理学のすすめ』4445頁)


 覚醒剤が禁止されているのは、覚醒剤常用者が身体を壊すからではありません。法律で自殺が禁止されていないことからも明らかなように、自分の身体を破壊する行動であっても、日本社会は原則として認めています(もっとも刑務所と拘置所は一般社会と異なるので、被収容者の自傷・自損行為を禁止しています。これは管理の都合上、手間がかかるからでしょう)。覚醒剤を打つと幻覚や妄想で他者に危害を加える(がい)(ぜん)性が高いので、覚醒剤は禁止されているのです。日本では大麻も覚醒剤と同じ「他者危害排除の原則」に抵触する薬物と見なされています。もっともオランダでは、大麻が認められています。これは、政府が「大麻はすばらしいから吸え」と国民に勧めているからではありません。大麻の吸引は愚行権の範囲内とオランダ社会が考えているので、政府も社会の基準に合致した判断をしているのです。


 大麻取締法違反で逮捕・勾留されているあなたが法廷で「大麻吸引は愚行権の範囲内だ」と主張しても、裁判官は絶対にその主張を認めてくれません。情状面で「反省していない。再犯の可能性がある」という評価になり、実刑になる可能性が高いと思います。法廷では「悪かったです。二度としません」と言って「弁当」(犯罪者用語で執行猶予のこと)を取り、娑婆に出てから、大麻合法化運動を始めるというシナリオもありますが、その場合、「あなたは正しいと思っているなら、なぜ法廷でそれを正々堂々と主張しなかったのだ」という批判がなされ、説得力がかなり落ちます。実刑覚悟で筋を通すかどうかについて、弁護士とよく相談することをお勧めします。


【参考文献】『環境倫理学のすすめ』加藤尚武 丸善ライブラリー

環境倫理学の3つの基本主張(自然の生存権の問題、世代間倫理の問題、地球全体主義)から、さまざまな環境問題の具体的な対処法について提言。'91年刊



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