50周年/1962年、ビートルズがシングル「ラブ・ミー・ドゥ」でデビューし、ローリング・ストーンズはバンドを結成。2012年はどちらも区切りの50周年ということで、両者関連のCDやDVDが特典付きで大量にリリースされ、おっさん達は小遣いのやりくりに苦悩した。
2012年――。ビートルズのレコードデビューから50年、ローリング・ストーンズ結成50年という、ブリティッシュ・ロックの記念すべき年なのです。
坪内 スコセッシが監督したドキュメンタリー映画『ジョージ・ハリスン/リヴィング・イン・ザ・マテリアル・ワールド』を年末に観てきたんだけど。
福田 あれDVD買うか迷ってるんだよ。12月にDVDが出て、その記念上映でしょ。
坪内 そう。3時間半の、長い映画なの。第1部はすごく面白かった。第2部の前半も面白かった。ところが、後半になってジョージ・ハリスンの2度目の奥さんが、長々と語り始めると退屈になってきてさ。お前のスピリチュアルな話なんか聞きたくないよ、と。そこは早送りにしてもいいよ。
福田 買わなくていいかなぁ?
坪内 でも、けっこう長くフィル・スペクターが出てるんだよ。ジョージの初のソロアルバム『オール・シングス・マスト・パス』を共同プロデュースしたでしょ。で、録音や音作りへのこだわりが、ジョージは完璧主義を通り越して狂ってる、とか言ってるわけ。あの偏執狂的なフィル・スペクターが。
福田 狂った人に、狂ってるって言われるのは、まともってことか? でもフィル・スペクターって、自宅で女優を射殺した容疑で数年前に逮捕されて、まだ刑務所にいるんじゃないの?
坪内 でもちゃんと自宅みたいなところで喋ってたよ(2009年に収監される前の撮影か?)。ちょっとでっぷりしてたけど、アウラはあったよ。
福田 そっか。誰も挙げないけど、フィル・スペクターがプロデュースしたレナード・コーエンのアルバム、好きなんですよ。『デス・オブ・ザ・レディスマン』。
坪内 あれ最高だよね――『ある女たらしの死』。素晴らしいよ!
福田 くだらねぇ曲ばっかりなんだけどね。「フィンガープリント」なんか、「俺の指紋はどこに登録されたんだ?」とか。