「オリンピックは人類の持っている夢のあらわれである」。市川崑総監督による1964年の東京五輪の長編記録映画『東京オリンピック』の冒頭、この言葉が出てくる。
厳密にいえば、オリンピックには夏冬それぞれ4年に一度、世界中から選手が集まって開かれる「オリンピック・ゲームズ」のほか、オリンピックの基本理念の「オリンピズム」や、スポーツを通して世界平和に貢献する「オリンピック・ムーブメント」なども含まれている。
このオリンピック・ムーブメントは、毎日、行われているものである。いわばオリンピック・ゲームズとは、オリンピック・ムーブメントを推進するための一つのビッグイベントにすぎない。
ただオリンピック・ムーブメントを人々に意識させ、日々実践してもらうためには、オリンピック・ゲームズを開催するのが一番わかりやすい。
日本では、1964年の東京五輪のあと、1972年札幌冬季五輪、1998年長野冬季五輪が開催されてきた。東京五輪から半世紀、そろそろ夏季五輪を招致してもいいころではないか。そう、オリンピックを愛する藤原庸介は考えたのである。
藤原は小学校5年のとき、1964年東京五輪を体験し、そのときの感動と興奮が「宝物」となった。