最後にどうしても、もうひとりの国際スポーツジャーナリストを紹介したい。
竹内浩。
国際オリンピック委員会(IOC)を取材して20数年。IOC委員から一目置かれ、日本のスポーツ界、メディア界にとっては頼もしい名前である。
IOC委員の言葉の裏を読み、笑顔に隠された本音を聞き出す。決して群れず、かといって孤立せず。共同通信社の論説委員。幅広い人脈を持つ国際派として鳴らし、時には他社の記者の肝をつぶすような特ダネを取ってくる。
「この仕事、何が一番オモシロイかといえば、誰もが知らないことを自分が真っ先に知ることができること。なおかつ、ほかのみんながこうじゃないかと思っている全く逆のことを、時々、知ることもできる。まさに“目からウロコ”。記者にとって一番オモシロイのは、目からウロコの瞬間じゃないでしょうか」
体を少しのけぞらせ、目を大きく見開く。好奇心、探求心は衰えず、根っからのジャーナリストである。声がちょっと裏返る。
「“え〜、ウソでしょう”っていうことを聞くことがある。快感というか、ぞくぞくする。それをニュースにする。これはこたえられません」
英語が堪能で、スペイン語、ドイツ語、中国語にも通じている。毎日、時間が許せば、NHKのラジオ講座で英語と中国語を聞くという勤勉さも持ち合わせている。