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インテリジェンス人生相談 個人編
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生き方・教養
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まえがき

『インテリジェンス人生相談 個人編』
[著]佐藤優 [発行]扶桑社


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 人生にはいろいろな悩みがある。周囲に相談できる人がいればそれでいいが、よい相談相手がいない場合はどうすればよいのだろうか?

 週刊『SPA!』の連載「佐藤優のインテリジェンス人生相談」に掲載されたなかで、個人生活に関わる相談と回答を赤巻に収めた。さらに、2008年12月5・6日に、私が『SPA!』編集部に陣取って行った「佐藤優のインテリジェンス電話人生相談」(印で記している)についても、性愛、家族などに深く関わるものを本書に個人編として収録した。誌上連載だと相談と回答の一往復であるが、電話だとやりとりが繰り返されるので、より深く踏み込んだ回答ができる。電話人生相談は今回、初めて公開されるので、『SPA!』の連載を漏らさずに読んでおられる方も本書を是非手にとってほしい。
“赤”という色を選んだのには理由がある。スタンダール(19世紀中期のフランス人作家)の小説『赤と黒』を少しもじってみたのだ。『赤と黒』は有名だが、ほとんど読まれていない古典の一つで、出世欲に取り憑かれたジュリアンを主人公とする物語だ。スタンダール自身は、題名の由来について説明していない。主人公(ジュリアン)がキャリアを積もうとした軍服(赤色)、司祭服(黒色)からこの題名がとられているという説があるそうだが、私は少し別の解釈をした。“赤”は血を象徴し、人間の情熱を表すので、性愛、家族などの個人と関わる事柄のシンボル色とした。これに対して、“黒”は死を象徴する。社会生活をするには、個人的なわがままや情熱を殺さなくてはならない。貧困、国家など社会と関わる事柄には、何かしらの抑圧がある。だから、シンボル色を“黒”としたのだ。もっとも、個人的な悩みと社会的な状況は、緊密に絡み合っているので、両巻を併せて読んでほしい。そうすれば、「1+1=2」ではなく、「4」か「5」になる。

 人間は本来、自己中心的で性悪な存在だと思う。それは、私が自分自身を見つめてそう思うということだ。しかし、性悪な自分のなかにも、そこから抜け出そうとする力が働いていると感じることがある。

 この人生相談に寄せられた相談にはさまざまなものがある。相談に対して、私は、「これはちょっとわがままな相談だなぁ」と思っても、相談者本位の答えになるよう努力したつもりである。

 回答は、建前に終わらせず、実生活に役立つ内容にしようとした。例えば、「意中の女性にどう近づきますか?」(第4番)という相談に対しても、男の性欲を前提としたうえで、現実的な回答をした。いわゆる「モテ本」とは異なり、いっさいの幻想を排して、直面する問題を、実際に解決することができるような回答に近づけたつもりである。

 率直に言って、心の病に関係する相談も少なからずあった。そのような相談に対しては、厳しい物言いをしたり、精神科医や心療内科医に相談することを勧めることもあった。「サディスティツクな性癖を抑えられない」(第6番)、「両親への復讐を考えています」(第14番)、「引きこもりの息子に殴られる」(第23番)などが、それにあてはまる。

 書店で行われる筆者の講演を聞いてくださる方や、電車で偶然乗り合わせた『SPA!』の読者から、人生相談を受けることがときどきある。その半数以上は、心の問題に関する相談で、かなり深刻なものだ。

 こういう相談を受けたときは、元外交官や元大学教師という観点ではなく、学生時代、同志社大学神学部と大学院でキリスト教(プロテスタント)神学を学んだときに教えを受けた、牧会学(ぼっかいがく)の知識を、記憶から引っ張り出してきて、最大限に活用した。牧会学とは、キリスト教の牧師(神父)が信者とどう向き合うかについて研究した学問だ。学問といっても、非常に実践的な性格をもっている。牧会学では、「医師が痴漢の現行犯で逮捕された。名誉も仕事も失い、家族も見放しているこの人にどういう助言をするか」、「ガンで持ち時間が限られている人とどう付き合うか」など、マニュアル化できないような問題と向き合う場合が多い。

 スバリ、「これです」と助言できない問題や、建前で答えてはいけない問題がたくさんある。こういう問題に対処するときに重要なことは、相手の話を最後まで聞くことである。対面でない文書での相談については、その行間から相手が置かれている状況について、徹底的に考える。そうすると、私の外側のどこかから、力がやってくるのである。この力は、自分の内側から湧いてくるものではない。私とは異質な外側からやってくるものだ。仏教でいう縁、キリスト教でいう愛などによって、こういう外側の声を、悩みをもつ人にきちんと伝えることが、牧師(神父)の仕事なのである。

 この本の「目次」を見て、気になる相談事項があったら、是非、読んで欲しい。あなたの人生にとって、有益な助言がたくさんあることを保証する。なぜなら、この回答には人知を超える力が働いているからだ。

 

 
2009年4月24
佐藤 優
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