最後に権力者の妄言を一つだけ。
「学校の問題は学校で解決する自治がある中で、警察が入ったことは残念だ」
これは、世論に押された警察が学校に捜査に入った際の、嘉田由紀子滋賀県知事の発言です。学校は治外法権ではありません。この知事の感性こそが、学校が無法地帯であり続ける最大の理由であり、大津いじめ自殺事件を巡る妄言の中でも、群を抜いた最低の発言です。
教師に相談して無視された被害者が自殺した、大津の事件を受けて、「相談して」と発言した野田総理や、学校や教育委員会が隠蔽していた事実を受けて、「学校が悪い誰が悪いと言っている場合じゃない」とした「日教組のドン」輿石東民主党幹事長の発言が、政治家のバカ発言として目立ち過ぎたせいで、嘉田知事の発言は問題になりませんでしたが、こちらの方が本質的な意味で悪質です。
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どうして、これほど低レベルな発言が繰り返されるのか。それはいじめの実態を、私も含めて誰も知らないからです。そう、文部科学省のいじめ統計がまったくのデタラメ統計であるせいで、個々の事実は判っても全体としてどうなっているのかは、今のところ誰にも判らないのです。次章ではその点を掘り下げて考えてみたいと思います。
資料1 問題行動を起こす児童生徒に対する指導について