孝明天皇は当初、和宮にはすでに婚約者があること、かわいい妹に対して無理強いはできない、などと降嫁を拒否したが、幕府は天皇へは「攘夷」の決行を約束し、有栖川宮家へは経済的援助をすることとして、むりやりの婚約破棄を命じ、強引に降嫁の承諾を取り付ける。
いよいよ断り切れない、と観念した和宮は、降嫁に際して五つの条件を出した。
そのうえで、もし一条でも容れられないときは内諾を取り消す、と彼女は意思表明をしたが、幕府は五つを無条件で、ことごとく了承している。もっとも、本心から実行する意思があったのかどうかは、別問題であった。