これも蛇足ながら、
「聰明で詩的な雰囲気をもった、美しいユダヤ人のような」
と呼ばれた捨松は、アメリカの大学における、アジア初の学位取得女性となった。
優秀な成績であり、「シェイクスピア・クラブのメンバーで英文学で受賞したこともある名エッセイスト」で、卒業生代表十人の一人に選ばれている。
彼女はわずかな歳月の中で、サムライの娘から国際的教養をもつ女性へと変貌を遂げていた。
「イギリスの日本に対する外交政策」
と題する講演を堂々と行い、イギリスの政策を徹底的に非難、あまりの素晴らしい内容に拍手喝采が途中で幾度も起こり、その都度、講演を中断しなければならなかったという。